アメリカ赤十字社が、2年前に巨大ハリケーン「サンディ」の被災者を救援した際に、同社が適切な支援をせず、誤った資金利用があったとする主張に反論している。
11月5日に公表されたアメリカの公共ラジオ「ナショナル・パブリック・ラジオ (NPR) 」とプロパブリカの報告書には、同団体によるハリケーン後の不祥事の詳細がいくつか挙げられている。報告書の内容は、機密報告書、社内メール、災害救助専門家による報告に基づく。
アメリカ赤十字社の社長兼最高経営責任者 (CEO) であるゲイル・マクガバン氏は、ハリケーンがアメリカ北東部を襲った数週間後、NBCニュースに対し、救助活動は「完璧に近い」ものだったと伝えているが、報告書では団体による不祥事の事例を多く挙げている。その中には「実際の救援活動よりも団体のプロモーションを優先している」「被災者を探し出すことができずに食料を何万食も無駄にした」「慈善団体が簡易ベッドを適切に提供しなかったため障害者が『何日もの間』車いすで寝ることになった」といった内容がある。
赤十字社は、報告書に記載された特定の主張に対してコメントすることはなかったものの、NPRやプロパブリカの報告を「偏った」「不正確な」内容であるとし、団体は最も支援を必要としている被災者に対し支援を提供したという点を強調している。
「災害後の混乱の中にある最初の数時間、そして数日間は、すべての要求にこたえるのは不可能である。特にサンディほどの大規模な災害の場合はとりわけ困難だった」と団体はウェブサイトで述べている。「問題が発生した場合、私たちはそれをなるべく早く解決しようと務め、そしてさらに対応できるよう常に努力している」。
赤十字社はまた、被災者への救済内容の詳細を伝えている。食事とスナックを1750万食、また避難所での宿泊を7万4000回提供しており、3億1150万ドル(約357億円)の基金の99%をサンディの被災者救援に使用した (あるいは使用が決定している) としている。
NPRやプロパブリカによると、サンディ後の支援活動を赤十字社で行ってきたリチャード・リーケンバーグさんは、団体幹部による不明瞭な意思決定に困惑し、「(赤十字社は)救援を実際に提供することではなく、その見栄えばかり気にしていた」と主張しているという。リーケンバーグさんはまた、ハリケーン後はドクターカー (ERV、Emergency Response Vehicle) がニューヨーク市で不足していたにもかかわらず、ドクターカー15台が団体の宣伝活動にあてられていたとも主張している。赤十字社はこれを否定している。
アメリカ赤十字社に対する批判はハリケーンが襲った直後からあった。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、非営利団体である赤十字社が、支援活動に参加するボランティアの高級宿泊施設ソーホーグランドホテルでの滞在費に18万1000ドル(約2000万円)をあてたとしている。
サンディの被害をうけたニューヨーク州スタテンアイランドの元区長ジェイムズ ・モリナロ氏も、ハリケーンがニューヨーク市を襲った数日後、同団体を批判している。当時、「私が区長をつとめるコミュニティーは赤十字社にとって重要ではないようだ」と述べていた。
NBCニュースによると、モリナロ氏は次のように述べた。
「高い給料をもらっている彼らは前線で活動すべきであり、私は非常に失望しています」と、モリナロは記者会見で述べた。「スタテンアイランドの人々にこうアドバイスしたいと思います。赤十字社に寄付してはいけません。彼らはどこか他で資金を調達すればいいのです」。
文末のスライドショーでは、ハリケーン「サンディ」襲来後の様子を紹介している。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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