小笠原諸島から伊豆大島にかけての海域で、中国漁船によるサンゴの密漁が深刻化している問題で、菅義偉官房長官は11月4日の記者会見で、中国に対し迅速で実効的な対応を行うよう申し入れたと述べた。
これに対して外務省の洪磊報道官は5日の記者会見で、「中国当局は関係者を教育、指導するとともに、違法行為の取締りを強化している」としたうえで、「中国と日本の取締り部門の協力によって解決できるよう望む」と述べたという。
中国国内ではこの問題を、どのように報じているのか。
中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」は、5日の洪報道官の会見について事実のみを報じただけだったが、人民日報の国際版である「環球時報」はより詳しく報じている。
記事では11月3日付の産経新聞の記事をほぼ引用。産経の記事に登場する大学教授の見方を“日本は”という主語に置き換え、「『単なる密漁目的ではなく、日本の海上警備態勢への挑発ではないか』と疑っている」としている。
この内容について、同紙は6日付の社説で「ナンセンス」と評した。「中国では赤サンゴの密漁は禁じられており、漁師は中国当局から逃れるために日本に向かった。彼らに政治的理由はなく、ただ生計を立てるための行為」として、中国側が推奨しているわけではないとの考えを示した。
しかし、「漁船の数が多すぎるので、中国政府が海外で中国漁船を効果的に監視することは難しい」としており、中国外務省が日本と共に適切に対処すると述べたことを繰り返している。
さらに、日本の太田昭宏国土交通相が4日に、台風20号の接近で漁船が小笠原の港に避難した場合でも「上陸しないよう厳重指導する」と述べたことをあげ、「国際人道的観点から、いかなる理由があろうと日本はこれらの漁民に対し、安全に避難するよう促す必要がある」と指摘した。
この他、イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は、サンゴ密漁のニュースと、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合で安倍晋三首相と習近平国家主席が会談する可能性や、靖国神社への安倍首相の参拝をめぐる中国側の非難なども交えて伝えており、これを中国の経済・金融情報を扱う新浪財経などが転載している。
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー