東京・銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」。2014年4月に来日したアメリカのオバマ大統領が、安倍晋三首相と非公式な夕食の会場に選んだことで話題になった。直後に「オバマ大統領は寿司を半分残した」という報道も出たが、同店で寿司を握って55年の小野二郎さんと、同店で働く長男の小野禎一(よしかず)さんは「オバマ大統領は、出されたものはすべて召し上がった」と話した。
11月4日、日本外国特派員協会での講演で明かした。
禎一さんによると、首相官邸から予約の申し込みがあったのは会談の1週間前。通常、2カ月前に予約が埋まるため、「最初は予約が一杯だったのでお断りした」が、「閉店後でもいいから」という依頼に、昼夜のお客さんをこなした閉店後、店を貸し切りにして引き受けた。
来店したオバマ大統領と安倍首相は、着席するなり「最初から事務的な難しい話に入られたので、どうしていいかわからなかった」が、「普通に出してくれ」と言われた二郎さんが、通常の客にも出す20貫3万円(税抜き)の「おまかせコース」を握った。
オバマ大統領は「左利きで、箸も非常に上手に使っておられた。『寿司がとても好きだ』とおっしゃっていた」。コースの寿司を順番に食べ、中トロを食べたとき「とても気に入ったようで、ウインクして頂いた」という。
禎一さんは「(おまかせコース20貫を)一通りお出しして、大統領はお出ししたものは全部召し上がりました。日米交渉の話があったので、味わって食べて頂いたかは分かりませんが、『今まで食べたお寿司の中で最高だ』とおっしゃって頂いた」。この「最高だ」の台詞を3回言ったという。
「寿司を残した」とする報道については「官邸やホワイトハウスからコメントするなと言われていたので黙っていました。お出ししたものは全部召し上がって頂いて、喜んで頂いたので、ありがたく思っています」と話した。
外国特派員協会の講演に同席した料理評論家の山本益博さんは「来日した国賓への食事は、皇居の豊明殿か迎賓館でフランス料理と決まっているが、オバマ大統領が左手で寿司をつまんだ瞬間、寿司はフランス料理のような世界のグローバルスタンダードになった」と評した。
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