2012年、アメリカを襲った竜巻「サンディ」「アイザック」。このとき、オバマ大統領は「赤十字に寄付を」と呼びかけた。しかし、オバマ大統領自らが名誉総裁も務める、アメリカ赤十字社は、ずさんな救援活動を行っていた――。
10月29日、調査報道を専門とする非営利団体「プロパブリカ」は、アメリカ赤十字社の内部資料や関係者のインタビューを通じ、不祥事を明らかにする「赤十字。秘められた大失敗」(原題: "The Red Cross' Secret Disaster")と題した報道記事を発表した。
記事では赤十字が被災者支援より、政治的な判断を優先していたとし、その実例を内部資料から紐解き、ずさんな支援活動を列挙、批判している。一部を引用する。
アイザックの際は、救援物資を積んだトラックを手配したが、その中身はほとんど空だった。支援しているようにみせかけるためだ。トラックドライバーは回想する。
「何も与えるものもないのに、被災地までトラックを走らせました。竜巻以上の災厄ですよ」
そしてサンディのときは、救援車両は被災者支援に使われず、記者会見の見せ物として駆り出された。
さらに、赤十字社が適切な手配をしなかったために、車いすを必要とする被災者に簡易ベッドが届かず、何日も車いすのままで寝る事態に陥った。また、ある避難所ではきちんとした手続きに従わなかったために、性犯罪者が子供のエリアにいる、といった事態も起きていた。
関係者のインタビューや書類から、赤十字社は被災後数日間に渡って、食料、毛布、電池など被災者が必要とする物資を十分に用意出来ていないことがわかった。にもかかわらず、物資を必要とする被災者を見つけられないがために、多くの食料を廃棄している。
赤十字社はボランティアを組織したものの、うまく活用することができず、アイザックが通過するまで何日もボランティアの人たちをタンパで足止めさせた。サンディの後には、ボランティアの人たちは、ニューヨークの街角で被害にあった人を探し、さまよった。赤十字がGPSを支給しなかったからだ。
こうした実態があったにも関わらず、アメリカ赤十字社幹部のゲイル・マクガバンは、サンディの被害の2週間後、救助活動について「完璧に近い」と評している。しかし、赤十字自らが作成した自己評価の書類に書かれた内容は、賞賛からは程遠いものだ。
【プロパブリカ関連の記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー