[ロンドン 21日 ロイター] - 世界風力エネルギー会議(GWEC)は、2030年までに世界の風力発電設備容量が現在の5倍強に相当する2000ギガワット(GW)に達し、電源構成の19%を占める可能性があるとの見通しを示した。
国際環境NGOのグリーンピースと共同でまとめた報告書を21日公表した。
2013年末時点の世界の風力発電設備容量は318GWで、電源構成に占めるシェアは3%だった。設備容量は2014年には45GW増加し363GWになるとみられている。
同報告でGWECは、2020年、2030年、2050年における風力発電を3つのシナリオに分けて予想。国際エネルギー機関(IEA)の予測に基づく最も保守的なシナリオでは2030年の風力発電設備容量を964GWとしている。
しかし再生可能エネルギーに関する現在の政策を基礎として、2015年の国連気候変動パリ会議(COP21)で控えめな温暖化ガス削減目標が採択されるシナリオで試算した場合、2030年の設備容量は1500GWになり、風力発電は電源構成の13%―15%を占めるという。
各国が積極的に再生可能エネルギーを推進し、より健全な温暖化ガス削減目標が採択される前提での試算では、2030年の世界の風力発電設備容量は2000GWに達し、電源構成の17%―19%を占めるようになるという。さらに同シナリオでは2050年の設備容量は4000GWになるとしている。
風力発電については、政府補助が電力料金の上昇につながっているとして欧州を中心として推進に反対する意見も強い。
しかしGWECのスティーブ・ソーヤー事務局長は、電力供給能力を増強する上で風力による発電コストが最も安い国・地域が増えており、価格も下落が続いていると指摘した。
その上で「温暖化ガス削減が喫緊の課題となる中、輸入化石燃料への依存度が高止まりしている現状を考えると、未来のエネルギー供給に風力発電が大きな役割を果たすことになることは間違いない」と語る。
GWECは、ブラジル、メキシコ、南アフリカの3国を風力エネルギーの成長市場とし、ブラジルでは2014年だけで4GWの設備容量増加が見込まれ、メキシコは今後10年に年間2GWの増加が続くと予想している。
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