「SPEEDI」は避難判断に使わない方針を決定 原子力規制委員会「国際的な考えにのっとった」

原子力規制委員会は、原発事故などの際に放射性物質がどのように拡散するかを予測していた「SPEEDI」のシステムを、住民避難などの判断には使わないとする運用方針を決定した。
原子力規制委員会

原子力規制委員会は10月8日、原発事故などの際に放射性物質がどのように拡散するかを予測していた「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ)」について、住民避難などの判断には使わないとする運用方針を決定した。福島第一原発の事故の経験から、SPEEDIの予測データでは「不確かな要素が排除できない」と判断。緊急時などの避難の判断に使うと、逆に被ばくのリスクを高めかねないとしている。NHKなどが報じた。

福島第一原発の事故では予測データが2か月近くほとんど公表されず、国の対応の是非を巡って大きな議論となりました。これに対して、原子力規制委員会は、事故後に作った原子力災害対策の指針のなかで、住民を避難させるかどうかは実際の放射線量などに基づいて判断するとしたうえで、SPEEDIの予測データは参考情報として扱うとしています。(中略)

 

SPEEDIを巡っては、政府の事故調査・検証委員会は「活用する余地はあった」としている一方で、国会の事故調査委員会は「初動の避難の根拠にできるほど正確性を持つものではない」とするなど見解が分かれていました。

 

“避難判断 SPEEDI使わず”:NHKニュースより 2014/8日 16時26分)

福島第一原発の事故では、津波で電源を失ったことで原子炉の情報が得られず、どの部分から放射性物質が漏れているのかもわからなくなった。原発からどれだけの量が出ているかを示すデータが長時間得られないことは、SPEEDIにとって想定外の事態だったとされる。

2013年2月に改正された原子力災害対策指針では、重大事故が起きた段階で5キロ圏内は即に避難、30キロ圏は屋内退避のうえ「モニタリングポスト」などによる実測値をもとに避難の判断をすることになった

8日の会議で更田豊志(ふけた・とよし)委員は、「災害対策指針に沿ったものであり、“今さら”という感もする。現在IAEAなどでも議論されており、国際的な考え方にのっとったもの。国際的な目から見たら、防災に関する考え方が正常化するものだと受け止めている」と述べ、SPEEDIの利用を参考程度に留めることに賛意を示した。

なお、この運用方針を決めることによって、2015年度からは、24時間365日、監視員を常駐させる運用を変更することができるため、関連予算を削減することも可能だという。SPEEDIは2014年現在も毎日放射線物質の拡散予想を計算しており、ホームページでは1時間ごとに計算結果が公開されている

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