オスプレイとは何か? 「未亡人製造器」と呼ばれた革新的航空機

オスプレイは開発段階で事故が多発したことから、国内では安全性を疑問視する声もある。その一方でヘリコプターと飛行機のいいとこ取りをした革新的な航空機という声もあり、評価は二分されている。実のところ、オスプレイとはどんな機体なのか。ざっくり調べてみた。
TO GO WITH AFP STORY BY REMY ZAKAAn American multi-mission and tiltrotor aircraft MV-22 Osprey, is pictured during a Franco-American military exercise called 'Garrigues Fury 2014' with soldiers of the US Special Purpose Marine Air Ground Task Force for Crisis Response, (SPMAGTF-CR), and soldiers of the French 21st Marine Infantry Regiment (RIMa) on February 13, 2014 at the military camp of Garrigues, near Nimes, southern France. The SPMAGTF-CR, was created after the armed attack against the U.S. consulate in Benghazi, Libya, in September 2012, in which four people, including the U.S. ambassador, perished. The mission of SPMAGTF-CR is to intervene rapidly in Africa. The objective of the exercise is to share the techniques and methods of action used in urban warfare. A AFP PHOTO / PASCAL GUYOT (Photo credit should read PASCAL GUYOT/AFP/Getty Images)
TO GO WITH AFP STORY BY REMY ZAKAAn American multi-mission and tiltrotor aircraft MV-22 Osprey, is pictured during a Franco-American military exercise called 'Garrigues Fury 2014' with soldiers of the US Special Purpose Marine Air Ground Task Force for Crisis Response, (SPMAGTF-CR), and soldiers of the French 21st Marine Infantry Regiment (RIMa) on February 13, 2014 at the military camp of Garrigues, near Nimes, southern France. The SPMAGTF-CR, was created after the armed attack against the U.S. consulate in Benghazi, Libya, in September 2012, in which four people, including the U.S. ambassador, perished. The mission of SPMAGTF-CR is to intervene rapidly in Africa. The objective of the exercise is to share the techniques and methods of action used in urban warfare. A AFP PHOTO / PASCAL GUYOT (Photo credit should read PASCAL GUYOT/AFP/Getty Images)
PASCAL GUYOT via Getty Images

2015年度から陸上自衛隊に導入されることが決まった新型輸送機「オスプレイ」。防衛省は17機全機を佐賀空港に配備する方針で、沖縄県の普天間基地に配備されている米軍のオスプレイの一部も佐賀空港への移転を進めて、沖縄の負担軽減をはかる構えだ。

オスプレイは開発段階で事故が多発したことから、国内では安全性を疑問視する声もある。その一方でヘリコプターと飛行機のいいとこ取りをした革新的な航空機という声もあり、評価は二分されている。実のところ、オスプレイとはどんな機体なのか。

■飛行機とヘリの「いいとこどり」

オスプレイの正式名称はV-22。現在、海兵隊用「MV-22」と空軍用「CV-22」の2機種が製造されている。愛称のオスプレイは、タカの仲間の鳥「ミサゴ」の英語名だ。1982年にアメリカ国防省は、陸軍、海軍、海兵隊、空軍という全軍が使用できる航空機を開発すると発表。ヘリコプターのように垂直に離着陸でき、飛行機のようにスピードが出て航続距離も長い航空機を開発することになった。これを受けて、ベル社とボーイング社が造ったのがオスプレイだ。

オスプレイは、ティルトローター方式を採用した垂直離着陸機。飛行機のような翼の両端にヘリコプターのようなローターを備えている。ローターの角度を垂直方向から水平方向まで変えることが可能で、ヘリコプターのように垂直離着陸や空中停止することも、飛行機のように水平に高速飛行することも可能だ。米軍の輸送ヘリ「CH46」と比べて時速は約500kmで約2倍。航続距離は約3900kmで、5倍以上になる。こうした点から、北朝鮮や中国に対する軍事抑止力として、日本政府は期待している。

■気になる安全性は?

飛行機とヘリコプターの長所を組み合わせた複雑なシステムは、操縦にも高度な技術が必要となる。オスプレイは開発段階で4回、正式配備後は4回の重大事故を起こしており、計36人が死亡している。開発当時は「ウィドウ・メーカー」(未亡人製造器)と呼ばれていたほどだった。

ただし、防衛省が2012年8月にまとめた資料によると、アメリカ軍の海兵隊が運用する最新機種「MV-22B」の10万飛行時間あたりの事故件数を示す「事故率」は1.93で、海兵隊の平均2.45より低い。日本の自衛隊で輸送ヘリとして活躍しているCH-47(チヌーク)も事故率は3を超えている

■反対運動の背景

オスプレイの反対運動が日本国内で盛り上がった背景には、2012年10月に沖縄県の普天間基地に配備されたことに大きなきっかけだ。本来は近隣に住宅地が多く、2004年には米軍ヘリが墜落しているような「世界一危険な基地」とまで言われる場所に配備されたことで、オスプレイの安全性が大きくクローズアップされたと言える。

オスプレイは離島からの病人などの緊急搬送にも有効で、7月28日には東京都の小笠原諸島の父島に、小野寺五典防衛相を乗せてテストフライトをする予定だ

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