マレーシア航空のMH17便が撃墜されたばかりのウクライナ東部で、7月23日午後1時半頃(日本時間23日午後7時半頃)、ウクライナ軍の戦闘機2機が撃ち落とされた。当初、ウクライナ軍は親ロシア派武装勢力による攻撃と報じていたが、後になってロシア領土からミサイルが発射されたとの見解を示した。
当初、ウクライナ軍のOleksiy Dmytrashkivsky報道官は、撃ち落とされたのはスホイ25戦闘機2機で、MH17便が墜落した場所から25kmほど離れた位置に墜落したと述べた。軍のホームページなどでは、反政府組織による攻撃で、それぞれの戦闘機には、最大で2人が乗っていたが、パイロットの安否は不明だと発表されていた。
その後、同省の別の報道官・Andriy Lysenko大佐は記者会見で、2機の戦闘機は高度5200メートルで飛行していたところを、対空ミサイルで撃墜されたと述べた。
Lysenko氏は、親ロシア派の武器では5200メートルの高度の戦闘機は撃ち落とせないとして、「予備情報からして、戦闘機は国境を超えた場所から撃墜された」と述べ、ロシアからの攻撃であるとの考えを強調した。
ロシアのテレビ局・LiveNewsは、親ロシア派武力集団のひとりが戦闘機を撃ち落としたと主張していると報じており、撃墜には携帯式防空ミサイルシステムを使用したとしている。
ミサイルの専門家は高度5200メートルという高さについて対空防空ミサイルシステムの通常の射程距離を超えていると指摘しており、ウクライナ軍が発表した、撃墜された戦闘機の高度情報が正しければ、ロシアへの非難が強まるとみられる。
親ロシア派武力集団の司令官・Igor Strelkov氏によると、撃墜された戦闘機のうち1機のパイロットは脱出したが見つかっていないという。親ロシア武力集団のウェブサイト「icorpus.ru」には、墜落した戦闘機が燃えている動画が掲載されている。
なお、ウクライナのポロシェンコ政権と親ロシア派武装集団は21日、国際調査団受け入れのために撃墜事件現場の半径40キロ圏内での部分停戦で合意している。今回戦闘機が撃墜された場所は停戦区域圏内にあたる可能性があり、双方が合意違反として非難し合う展開もあり得ると時事ドットコムは指摘している。
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