菅義偉・官房長官は7月8日、閣議後の記者会見で、9月に原子力規制委員会(規制委)の新しい委員への就任が決まっている田中知(たなか・さとる)東京大教授が2014年6月まで原子力事業者から報酬を得ていたことについて、就任には全く問題ないとの認識を示した。
規制委は原子力発電所の再稼働に向けた審査を担う機関。中立公正や透明性の確保を徹底するため、民主党政権時の2012年に作られたガイドラインの中で、「直近3年間に同一の原子力事業者等から、個人として50万円以上の報酬等を受領していた者」は委員に就任できないと明記されている。
田中氏はこれまで、核燃料サイクルを担う「日本原燃」と、原発メーカーの「三菱FBRシステムズ」から、報酬を受け取っていたことや、自身の研究室が原発メーカーの「日立GEニュークリア・エナジー」などから寄付を受け取っていたことが報じられており、田中氏の委員就任については「中立公正さ損なう人事」という批判も出ていた。
■これまでに判明した田中知・東大教授への原発業界からの資金提供
【寄付】
・日立GEニュークリア・エナジー:2006〜11年度 計360万円
・電源開発:2006年度 100万円
・太平洋コンサルタント:2011年度 50万円
【報酬】
・東電記念財団:2011年度 50万円
・三菱FBRシステムズ:2007〜14年度 不明
・日本原燃:2009〜2013年度 不明
(朝日新聞デジタル「規制委員候補の田中氏に、原子力業界から報酬 先月まで」より 2014/)
菅官房長官は8日の記者会見でこの問題について、「報酬の金額は少額であり、専門技術的な立場から助言を行うような内容であるため、委員に就任していただく上で全く問題ないものとして政府は承知している」と述べ、報酬金額についても50万円未満であることを示した。
また、ガイドラインについても「当時の内閣でつくられた『内規』であると理解している。(現在は)法に定められた要件に照らして考えるというのが政府の基本的な考え方だ」と述べ、当時の条件を引き継がない考え方を示した。
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