複数都議がヤジ 議場の音声分析「自分が産んでから」も
東京都議会で晩婚化対策を質問した塩村文夏(あやか)都議(35)が女性蔑視のヤジを浴びた問題で、複数の議員が立て続けにヤジを飛ばしていたことが分かった。都議会は発言者の特定を1人にとどめて幕引きを図ろうとしているが、事実解明は避けられなくなった。
都議会の記者席で朝日新聞記者が取った録音と、都議会が庁内放送で流した都議会中継の音を朝日新聞とテレビ朝日が分析した。
鈴木章浩都議(51)が「早く結婚した方がいいんじゃないか」とヤジを飛ばした直後、たたみかけるように男性の声で「自分が産んでから」「がんばれよ」とのヤジが続いた。塩村都議が女性の不妊に関して質問した際には「やる気があればできる」との暴言も聞かれた。
音声分析に協力した日本音響研究所の鈴木創所長は「口調や声の調子からヤジを飛ばした人は複数いる。たくさんの人が同時に話している」と分析した。
都議会最大会派の自民の吉原修幹事長は、所属議員全員の聞き取りをし、鈴木都議のヤジ以外は「聞いていない」と説明していた。
■立て続けにヤジ
朝日新聞とテレビ朝日は、18日の都議会の記者席で朝日新聞記者が取った録音と、都議会が庁内放送で流した都議会中継の音を分析。二つの音源を重ねたうえで塩村都議の声の音を小さく、男性の声の音を大きくする「シグナルエンハンスメント」の手法などで音声を補正し、精度の高いスピーカーで分かった部分について調べた。
その結果、塩村都議に鈴木章浩都議(51)が「早く結婚した方がいいんじゃないか」とヤジを飛ばした直後、男性の声で「自分が産んでから」とのヤジが聞こえ、「がんばれよ」の声もたたみかけるように続いた。
塩村都議が、悩みを抱える女性への対策に関する質問をした際には「先生の努力次第」と男性の声があがり、女性の不妊に関する質問のときには「やる気があればできる」とのヤジも聞かれた。
補正前と補正後の音声を聞き、独自の分析もした日本音響研究所の鈴木創所長は、「自分が産んでから」の発言について「ノイズの影響でクリアではないが、そう発言した可能性は十分ある」との見方を示した。音声を確認するなかで、「セクハラじゃないか」と注意する声があがっていたことも指摘した。
都議会のヤジは、鈴木都議が自ら発言を名乗り出たが、発言者の特定は鈴木都議のみ。都議会は他の発言者の調査を進めず、25日に閉会した。
【関連記事】
関連記事