[バグダッド 17日 ロイター] - イラクのマリキ首相は17日、政権に批判的なイスラム教スンニ派の代表者らと共に演説し、挙国一致の体制を築くよう呼びかけた。挙国一致を印象付ければ、イスラム武装勢力への反攻作戦を展開するマリキ政権の支援に、米国が傾く可能性も出てくる。
直前には、マリキ首相のシーア派連合が、スンニ派最大の政党とのいかなる協力も拒否することを表明。マリキ政権は「大量虐殺(ジェノサイド)」に手を貸しているとして、サウジアラビアを批判していた。
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イラクではこれまで、民族・宗派間抗争を収束させる取り組みが失敗に終わってきた。今回、シーア派、スンニ派、クルド人の代表者が非公開で会合を開き、共に演説に臨んだ。マリキ首相の前任者であるジャファリ氏は「テロリスト勢力」を非難し、イラクの主権を訴える内容の声明を読み上げた。
スンニ派の過激派武装組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」はこの1週間でイラク北部の都市を次々と掌握。米国のオバマ大統領は、この勢力を制圧する軍事行動のオプションを検討している。
だが、米国側はその支援と引き換えに、少数派であるスンニ派の政治的な不満を解消するよう、マリキ政権に求めていた。
ジャファリ氏は演説で、「テロリスト勢力が派閥もしくは宗派を代表することはない」と指摘。イラク政治の「これまでのあり方について見直す」という、あいまいな約束も示した。
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イラク政府はこれに先立ち、サウジアラビアがISILを支援していると批判。サウジアラビアはその可能性を否定している。
政府は声明で「これらの勢力を金銭面・精神面から支援し、ジェノサイドとも言える犯罪などの結果を引き起こした当事者に責任を取らせる」としていた。
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