不正麻酔、死亡12児側に説明せず投与か 東京女子医大
東京女子医大病院(東京都新宿区)は12日、麻酔薬「プロポフォール」を使用禁止の条件に反して投与した小児患者63人のうち12人が投与後に死亡していた、と発表した。麻酔科医らは患者側に説明しないまま、不正投与を繰り返していた可能性がある。病院は「投与と死亡との因果関係はないとみられる」としているが、外部の専門家も交えて調査する。
学校法人トップの吉岡俊正理事長らが会見し、明らかにした。それによると、麻酔科医らが2009年1月~昨年12月、集中治療室で人工呼吸中にプロポフォールを不正に投与した0~14歳の小児63人中12人が投与の数日後から3年後までに死亡していた。いずれも副作用の症状はみられず、病気の進行や敗血症などの感染症で亡くなった例が多かったという。投与の理由は「調査中」とした。
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病院では今年2月、2歳男児が同様にプロポフォールを大量に投与され、副作用が疑われる症状で急死。男児が動いて呼吸用の管が抜けるのを防ぐためだったとされるが、両親らに事前の説明はなかった。63人の患者側に対しても、病院は会見で「説明が十分でなかったと思う」と釈明した。
男児の死亡と投与の因果関係について、病院は「あったとみられる」とした。吉岡理事長は「責任を痛感している。心からおわび申し上げたい」と謝罪した。
プロポフォールは小児の死亡例が海外で報告され、代わりの麻酔薬を使うのが一般的とされる。都内の大学病院の麻酔科教授は「麻酔の専門家が知らないはずがない常識。日本の医療をリードする病院で、なぜ使ったのか驚く」と話す。
厚生労働省の担当者は「病院に詳細な調査を要請している。その状況をみて対応を検討したい」としている。
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(朝日新聞社提供)