[東京 27日 ロイター] - 原子力規制委員会による九州電力
原子力規制委は今年3月、川内1、2号を新規制基準に基づく適合性の審査合格が見えてきた「優先審査」の対象に選定。昨年7月に始まった審査会合での指摘を踏まえ、九電は4月末に基本設計・方針にかかる「設置変更許可」の補正を申請した。
ところが、規制委は5月8日の会合で、同補正に対して42件の記載の不備を指摘した。
不備について規制委の更田豊志委員が「ほとんどは、(過去の)審査会合で説明をいったん受けており、内容についても議論を終えている」と指摘するなど、規制委と九電の間に意見の大きな食い違いがあるわけではない。
<九電、最終段階で慎重姿勢>
この日の審査終了後、九電の中村明・上席執行役員は記者団に対し「再々補正はしたくないので時間が掛かっている」と述べた。再補正を受けて規制委は、事実上の「合格書」となる「審査書案」をまとめる。
すでに実働部隊の原子力規制庁が審査書案の作成作業に着手済み。審査書案が完成するまでの期間は未定だが、規制庁の担当者は「何カ月もかかるものではない」としており、6月に再補正があれば、7月にも同案がまとまる可能性がある。その後、1カ月間の意見募集を行う。
適合性審査は、基本設計・方針をみる設置変更許可のほか、機器類の詳細を確認する「工事計画認可」と、運転管理体制をみる「保安規定認可」で構成される。
九電は、6月の基本設計の再補正の後に、工事計画認可と保安規定認可の補正申請を行う。九電の中村氏は、工事計画認可などの補正申請について「なるべく早く出したい」と述べたが、具体的な時期は言及しなかった。原子力規制庁の担当者によると、工事計画、保安規定の認可まで「月単位はかかる」という。
<再稼働は秋以降に>
川内原発が審査合格になれば、つぎは鹿児島県や薩摩川内市など地元自治体の同意が焦点となるほか、原発の機器を検査する「使用前検査」が控える。
使用前検査も1─2カ月程度かかるとみられ、各段階の手続きを考慮すると、夏の再稼働は困難な情勢だ。
九電の山元春義副社長は今月16日、薩摩川内市議会で夏の再稼働は厳しいとの見解を示している。
川内原発再稼働に向けた手続きは以下の通り。時期は目安で、各手続き要する期間は不透明な要素もある。
(浜田健太郎 編集:田巻一彦)
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