5月24日に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた地表観測衛星「だいち2号」の観測データの軍事利用について、同日の会見で宇宙航空研究開発機構(JAXA)の奥村直樹理事長が「基本的には平和利用の範囲」と答えたことが憶測を呼んでいる。記者団からは「基本的の意味は?」「政治判断があればあり得るのか」といった厳しい質問が相次いだ。
JAXAの活動範囲は、2012年6月のJAXA法改正で「平和の目的に限り」という文面を「宇宙基本法 (平成二十年法律第四十三号)第二条 の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」と変更。観測データの防衛目的での利用は解禁されている。
以前の地表観測衛星「だいち」の3倍以上の高性能を誇る「だいち2号」のデータ利用をめぐり、海外からの懸念の声が強くなりそうだ。今回の会見での、詳しいやり取りは以下の通り。
――「航空宇宙専門誌「 Aviation Week & Space Technology」の記事で、「だいち2号」データが軍事利用に使われる可能性があるという論考が載っています。ALOS-3(だいち3号)や超低高度衛星が今後打ち上がると、そういった懸念の声が国内外から強くなると思うんですが、要望があればそういったデータを(軍事目的で)提供するのでしょうか?
「私どもJAXAの宇宙活動は、活動の原点であるJAXA法でも規程されているように、『平和利用の範囲内で行う』となっていることを最初に申し上げたいと思います。従って私どもの技術がどういうところに、どう使われるのかということは、今申し上げたように、私どもの判断の範囲は、あくまでも平和目的ですので、その先のことについては政治の違うところでご検討、ご判断いただくことになるのではないかと考えております」
――JAXA法によると「JAXAの活動は平和目的に限られているけど、政治判断があれば軍事利用もできるという意味でしょうか?
私はそういうことを申し上げているのではなくて、基本的には飽くまでも平和利用であります。私どもの科学技術の範囲は平和利用の範囲を超えないと。
――基本的にはということは状況によっては使えるということですか?
「われわれの活動範囲は平和目的の範囲内という法律の趣旨そのものです」
――データの提供先の官公庁には防衛省も含まれるんでしょうか?
「それもどう使われるかということにもよるんですが、これも当然、関係府省との方々との相談の上で、どういう風にどういう目的で使うかということ決めていくことになると思います」
――(防衛省も)含まれるということですか?
「4つの官庁が我々の関係府省になりますので、そこの皆様とご相談するということになると思います」
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