集団的自衛権の行使容認に積極的だった小松一郎・内閣法制局長官の退任が5月16日、決まった。体調不良で入院して抗がん剤治療をするなど、今後の国会運営に耐えられないと安倍政権が判断した。
同日の閣議で小松氏が内閣官房参与に就任する人事を決定した。
「憲法の番人」と呼ばれる内閣法制局から、集団的自衛権の行使容認に積極的だった小松氏が退任したことで、今後、関連法案の国会審議に影響を与えることも予想される。
菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「15日、本人から『治療に専念したい』と申し出があった。集団的自衛権をめぐり、今後国会で議論が本格化する中で、国会対応の激務は酷で、治療を優先するのが適当と判断した」と述べた。
(朝日新聞デジタル「内閣法制局長官に横畠氏 小松氏は内閣官房参与に:」より 2014/05/16 11:14)
小松氏は2013年8月に就任。歴代、法務省や生え抜きが就任してきた内閣法制局の長官に、外交官出身として初めて起用された。安倍晋三首相が意欲を示す集団的自衛権の行使容認に前向きな姿勢を示しており、長年、憲法解釈で集団的自衛権の行使を否定してきた内閣法制局の役割が大きく変わるとみられていた。
しかし、その国会答弁をめぐり、与野党から批判が噴出していた。
3月11日、自民党が公約としていた国家安全保障基本法制定を「安倍首相は国会に提出する考えはない」と答弁したことが批判され、2日後に陳謝していた。
3月25日には参院外交防衛委員会で、持ち込みが禁止されていた携帯電話の画面を読み上げて答弁し、物議を醸したこともあった。
後任には、内閣法制局の横畠裕介次長が昇格する。
横畠氏は検事出身で、内閣法制局では第1部長などを経て、2011年から次長。横畠氏は辞令交付後、首相官邸で記者団に「内閣の補佐機関としてしっかりと職責を果たしたい」と語った。
(毎日新聞「法制局長官:横畠次長が昇格『職責果たす』 小松氏退任で」より 2014/05/16 10:57)
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