マッカーサー道路、68年かけて完成 東京オリンピックの大動脈に

GHQのマッカーサー最高司令官が建設を指示したという伝説がある「マッカーサー道路」が、3月29日に開通する。計画決定から実に68年もかかった計算だ。都心の虎ノ門〜新橋間の約1.4キロが結ばれることで、慢性的な渋滞の解消が期待されるほか、2020年東京オリンピックでは選手村と各競技場を繋ぐ大動脈となりそうだ。
安藤健二

GHQのマッカーサー最高司令官が建設を命じたという伝説がある「マッカーサー道路」が完成した。3月29日午後3時に開通する。都市計画決定から実に68年もかかった計算だ。東京都港区にある虎ノ門〜新橋間の約1.4キロが結ばれることで、都心の慢性的な渋滞の解消が期待されるほか、2020年東京オリンピックでは選手村と各競技場を繋ぐ大動脈となりそうだ。

■「マッカーサーの遺産」という都市伝説

マッカーサー道路は正式には「環状第2号線」の一部。神田佐久間町〜虎ノ門までの開通部分は「外堀通り」として知られている。終戦直後の1946年、戦災復興院が、神田佐久間町から新橋まで約9.2キロ、幅100メートルの道路として都市計画決定したのが始まりだ。GHQが虎ノ門のアメリカ大使館から東京湾の竹芝桟橋までの軍用道路を要求したなどの俗説もあったことから、いつしか「マッカーサー道路」と呼ばれるようになった。

1950年に道路幅は40メートルに縮小されたが、周辺の都市化に伴って用地買収が難航。工事は着工されないまま、道路予定区域は約50年にわたって建築制限がかかり、3階までの建物しか建てられなかった。つい数年前まで、新橋と虎ノ門のオフィス街の間に、まるでモーゼが海を割ったかのように中高層ビルの谷間に低層住宅が連なっている異様な光景を見ることができた。

■トンネルの上にできる「虎ノ門ヒルズ」

虎ノ門ヒルズ

建設に向けて動き出したのは、90年代になってからだ。「立体道路制度」を適用して、大部分を地下トンネルにする。そして、そのトンネルの上に超高層ビルを造るという離れ業を編み出したのだ。このビルに地域住民を優先的に入居することで、計画が一気に進んだ。

トンネルの上にできる超高層ビルは、その名も「虎ノ門ヒルズ」。地上52階建て、高さ247m。都内のビルでは、東京ミッドタウンに次ぐ高さだ。住居、オフィス、商業施設のほか、日本初進出の高級ホテル「アンダーズ 東京」などが入居する。6月11日に開業予定だ。

■日本の「シャンゼリゼ通り」に

「マッカーサー道路」の構造図(クリックすると拡大)

地下トンネルの地上部には幅員40mの地区内道路「新虎通り」を整備する。2015年には最大で片側約13mの歩道を設ける計画だ。東京都ではパリの「シャンゼリゼ通り」を模して、オープンカフェが建ち並ぶような賑わいを演出したい考えだ。舛添要一知事は2月27日の定例会見で次のように話していた。

シャンゼリゼって言うと、歩行者天国的なところもあるし、いわゆる歩道にカフェみたいなところで、特に今から気候よくなると、インドアじゃなくてアウトドアで、ちょっとビール1杯飲むとかコーヒー1杯飲むと、そういうくつろげる空間があって、やっぱり虎ノ門-新橋っていうのは東京駅からも近いし、国政の中心地からも近いんで、あのストリート、あの通りがですね、非常にそういう活気があって、諸外国の人も含めて、日本の表玄関、東京の表玄関だっていうことで、散歩できるような、そういうイメージを描いてます。

知事の部屋 / 記者会見(平成26年2月27日)|東京都)

■東京オリンピックの大動脈に

マッカーサー道路の開通で活性化するのは、地元だけではない。それ以上に大きな影響を受けるのが、2016年に築地市場が移転する豊洲など、いわゆる湾岸地域だ。環状第2号線は、新橋〜豊洲間が2016年3月に繋がることで全面開通する。東京ビッグサイトなどがある有明から、豊洲、晴海、汐留、虎ノ門、赤坂見附、四谷、水道橋を経て神田佐久間町まで。総延長は約14キロにもなる。

2020年の東京オリンピックでは、湾岸地域に設置される選手村とメインスタジアムの「新国立競技場」のアクセスが飛躍的に高まることが期待できる。

東京オリンピックに向けて道路改修が進む中で、3月20日には渋谷区内の首都高で火災が発生、通行止めになる騒ぎがあった。迂回路になった周辺道路も含めて交通機関が麻痺することになったが、環状2号線が全面開通すれば、首都高頼みの都心の交通アクセスが大きく変わることになりそうだ。

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