政府はフランスが取り組んでいる次世代型の原子炉の研究開発に協力するため、日本とフランスの政府間による取り決めを検討していることが、明らかになった。福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の活用を見据えて、4月下旬をメドに合意書を交わす見通しだという。NHKが3月5日報じた。
国はフランスが取り組んでいるいわゆる「核のゴミ」を減らす次世代型の原子炉の研究開発に協力するため、「もんじゅ」の活用も見据えた政府間の取り決めを検討していることが分かりました。
フランスが2025年ごろの運転開始を目指している「ASTRID」と呼ばれる次世代型の原子炉の設計や、この原子炉を使ったいわゆる「核のゴミ」を減らす技術の研究開発に協力するため、同様の研究を行う「もんじゅ」の活用も見据えた政府間の取り決めを検討していることが分かりました。(NHKニュース「もんじゅ活用へ 日仏で取り決め検討」より 2014/03/05 05:14)
高速増殖炉「もんじゅ」は、プルトニウムを燃やしてさらに多くのプルトニウムを生み出す「核燃料サイクル」の実現を目指して、1995年に試運転を開始。しかし、同年12月、ナトリウム漏えい事故が発生して運転停止。2010年に性能試験を再開したが、炉内中継装置の落下事故により再び運転を停止している。
2013年5月には原子力規制委員会より、運転準備中止命令が出されていた。もんじゅの原子炉施設直下にも断層が見つかっており、活断層かどうかの検証が続けられている状態とされていた。
政府が2月25日に発表した「エネルギー基本計画」の原案では、「もんじゅ」の課題について「十分な検討、対応を行う」などと以下のように発表していた。
もんじゅについては、これまでの取組の反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行い、国際研究協力の下、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について十分な検討、対応を行う。
(『「エネルギー基本計画」の政府の原案』より 2014/02/26)
一方、原案では「核燃料サイクル政策」について、国の基本方針として推進の立場を明らかにしていた。
我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。
(『「エネルギー基本計画」の政府の原案』より 2014/02/26)
「もんじゅ」を巡っては、与党内にも廃止を求める声があり、今回の取り決めは「もんじゅ」存続の意義をアピールする狙いがあるものとみられる。
過去には「もんじゅ」実用化の目標を白紙にするといった報道もあったが、菅義偉官房長官は2月7日の会見で「方向性を決めた事実は全くない」と述べていた。
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