LINEは2月26日の発表会で、企業と人をつなぐインフラとする「LINEビジネスコネクト」と、電話サービス、さらにスタンプショップのオープン化を発表した。
「メッセージアプリを手がける企業の中で、我々は最先端のビジネスモデルを行っている」(舛田淳執行役員)と自負するLINEだが、2013年第4四半期のLINE事業の売上122億円のうち、60%はゲーム、20%がスタンプ売上、残りの20%で公式アカウントやスポンサードスタンプという割合。国内でもっともメジャーなメッセージングアプリで快進撃を続けていながら、売上実態はメッセージアプリとは直接関係のない、ゲームアプリの課金で補っているのが現状だ。
だが、モンストこと「モンスターストライク」のmixiに代表されるように、大ヒットが出ると一気に業績が上がるスマホゲームの分野に注力する企業もある一方、LINEのビジネスモデルはいくつもの収益源を積み重ねる「多重化」がカギ。激しい変化にスピーディに対応し、偏りのないモデルを目指す。この方針を、LINEの戦略面を司る舛田淳執行役員は、「我々がたったひとつ決めていることは、『ひとつのビジネスモデルに依存しない』ということだけだ」と端的に説明している。
LINE執行役員 舛田淳氏
スタンプと公式アカウント、ゲームに続く次の一手として、LINEは昨年、音楽配信サービス、ECサービスと多方面に展開する方針を明らかにした。パソコンのインターネットにおいて、ヤフーが、ショッピングからメール、メディアと全方位をカバーするプラットフォームになったのと同じように、スマホのメッセージングアプリを軸に、コンテンツ配信、物販と収入源を増やすのが狙い。
そしてさらなる収益源として今回発表した施策のなか、もっともインパクトがあるのが、「LINEビジネスコネクト」だ。
これは簡単に言えば、企業がLINEを使って自由に顧客とやりとりするための仕組み。これまでのLINEの企業アカウントでは、登録者に同一のメッセージしか送れず、登録者のデータベースもLINEが持っていた。これがビジネスコネクトになると、企業が持つ顧客データベースと接続し、LINEを使って、顧客ごと違うメッセージを発信できるようになる。
企業は、スマホを持った顧客に情報を届けるために、サイトにアクセスしてもらったり、独自アプリを開発するなどしていたが、LINEビジネスコネクトを利用すれば、そうした手間なく、いきなり、LINEの数千万規模のユーザー層を対象として、情報を発信できる環境を得られるわけだ。
これを、担当役員の田端信太郎執行役員は「我々はスマホ時代の土管(プラットフォーム)になる」と表現。スマホ時代における、メールマーケティング、アプリマーケティングを一気に飲み込むことが狙いだ。
LINE執行役員 田端信太郎氏
すでに想定事例として、田端氏はピザのスタンプを送るとピザが届くサービスや、レンタルDVDなどの返却期限を伝えるサービス、タクシー送迎などを挙げている。いずれも、これまでの「一斉配信」ではできなかった、顧客データベースとつながっているからこそできることだ。
また、テレビ番組のアカウントに返信することで、番組への投稿や投票ができる仕組みの導入もすでに民放各社と話し合いを進めているという。
LINEビジネスコネクトでは、APIを通じて企業のデータベースと接続する
今回発表されたLINEビジネスコネクトのほか、電話サービスも、そして自由にスタンプを作成して販売できるサービスも、すべてこれらは「LINEを軸にした収益源の多角化」と捉えることができる。
ユーザー数でいえば、国内ではすでに圧勝状態。上場も囁かれる中、LINEは「実りの秋」に向けて、全力で仕込みをしている段階と言えるだろう。
【LINE関連の記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています。
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー