「ジャッキーのために脱ごう!」いま、レバノンの若者たちの間でセミヌードの写真をネットに投稿するムーブメントが起きている。肌寒いこの季節に、どうしてレバノンの若者たちは「脱いで」いるのか?
■きっかけは、オリンピック選手のトップレス画像
きっかけは、現在ソチオリンピックにレバノン代表として出場しているジャッキー・シャムーン選手がトップレスでゲレンデに立っている姿の画像が流出したことだった。
イギリスのインデペンデント紙によると、画像は3年前にレバノン・ベイルート近郊のファラヤ山でスポーツカレンダー用写真撮影が行なわれた際に、撮影の様子を記録していた動画から切り出されたものだった。今回シャムーン選手のオリンピック出場をきっかけに、大きく注目を集めることとなった。
レバノンは、アラブ圏では最もリベラルな国々のひとつと言われているが、未だに女性の肌の露出を許さない保守的な文化が根強く残っている。
そのため、レバノンの青年スポーツ大臣は、シャムーン選手の画像について調査するようレバノンオリンピック委員会に命じた。大臣は、この異例の命令を「レバノンの名誉を守るため」としている。大臣の命令を受けて委員会は、シャムーン選手にメディアの取材に応じることを禁じた。
シャムーン選手は、Facebookに「レバノンは保守的な国だということは理解しており、この写真は決して私たちの文化を象徴しているものではありません。ですので、皆さんが批判したくなる気持ちは十分理解できます」と投稿し、謝罪した。
■「トップレスを非難するヒマがあったら」
こうしたレバノン政府の厳しい態度に対してネット上では、2人しかいないソチオリンピック選手の一人であるシャムーン選手を擁護し、「政府は優先順位を取り違えている」と批判する声が多く見られた。
レバノンでは、2月初頭に爆弾テロで3人が死亡する事件や女性が夫に撲殺される事件などが相次いで発生しており、「トップレスを非難するヒマがあったらテロを防ぎ、女性の身の安全を守ってくれ」と、政府の対策不足を批判する声が目立った。
また、地元のフォトスタジオは「I Am Not Naked」という、セミヌード写真を無料で撮影するキャンペーンを始めた。2月11日に立ち上げたFacebookページは、すでに1万2千人以上の人々がいいね!している。
写真に写っている人々はみな「ジャッキーのために脱ごう (Strip For Jackie)」と書かれた丸いボードを持っており、シャムーン選手への支持を表明している。また、ページの説明文には「このキャンペーンは、私たちの同胞の優先順位を正すためのものである」と書かれており、テロや犯罪への対策が徹底されない中、シャムーン選手を非難した政府を強く批判している。
フォトスタジオのオーナーであるTarek Mouakkadさんは、「(このキャンペーンが)レバノンにおける表現の自由を守る第一歩になればいいと思う」と語っている。
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