「自分のことは自分で決め、人生の舵を自らの手に握っている」と感じている人のほうが、「人生の紆余曲折に対して、なす術がない」と感じている人より、長生きできる傾向にあるという研究結果が発表された。
ドイツ経済研究所と、アメリカのロチェスター大学およびブランダイス大学の研究者たちが行ったこの研究によれば、こうした傾向はとりわけ、教育レベルの低い人々に当てはまる。低学歴は通常、寿命に関しては悪影響をもつが、人生に対するコントロール意識を持つことで、低学歴が寿命に及ぼす影響が帳消しにもなるようだ。
健康心理学に関する学術誌『Health Psychology』に発表された今回の研究は、アメリカで実施されている「Midlife in the United States(中高年のストレスと健康に関する研究)」の一環として、25歳から75歳の6135名を対象にして行われた。
研究チームは、対象者を14年間にわたって追跡し、死亡率と、人生に対するコントロール意識の間に関係があるかどうかを調査した。
その結果、教育レベルの高い人々の間では、人生のコントロール意識と、調査期間中の死亡率の低下には相関が認められなかったが、教育レベルの低い人々の間では、相関関係が見られた。しかも、うつ的傾向や病気、健康にかかわる行動といったほかの要因を考慮に入れた場合でも、相関はあったという。
ブランダイス大学のマージ・ラックマン教授(心理学)は、論文でこう述べている。「人生に対するコントロール意識を向上させるための方法やコツはたくさんあり、教育を受けることもそのひとつだ。健康増進のための生活改善、さらには、寿命を延ばすことを目指した教育および健康の施策に、こうした考え方を盛り込むことが望ましいのではないだろうか」
少なくとも、仕事に対してコントロール意識を持てることで、幸福度はアップするようだ。科学雑誌『PLOS ONE』に最近掲載された研究によると、仕事に関してコントロールができており、精神的な支えを得ていると感じている人は、幸福度も高いという。
また、『Journal of Personality and Social Psychology』に発表された研究成果によると、高齢者の場合は、「年を重ねること」に対して良いイメージを抱くことで、実際に寿命が延びるという。
[(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
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