買い物は、不幸な気持ちを和らげる。消費者心理に関する学術誌「the Journal of Consumer Psychology」でこのほど発表された論文「The Benefits Of Retail Therapy: Making Purchase Decisions Reduces Residual Sadness(リテール・セラピーの効能:消費活動は、心に居座る不幸感を軽減する)」はそう主張する。
執筆したミシガン大学の研究者たちは論文の中で、「不幸感」と、「人生の成り行きは自らで決定できず、状況によって左右されるという感覚」は、非常に強く結びついていると説明している。というわけで、状況を自らの手で再びコントロールできる買い物は、不幸感を軽減できるというのだ。
研究では被験者たちを、実際に購入する「買い物客」と、ただ見るだけの「ウィンドー・ショッピング客」の2グループに分けた。英紙「インデペンデント」の記事によれば、各グループに対して12点の商品を見せたところ、その間、状況をうまくコントロールできていると感じた割合は、「買い物客」が79%なのに対し、「ウィンドー・ショッピング客」は2%だったという。さらに、「買い物客」の不幸度は、「ウィンドー・ショッピング客」の3分の1だった。
言うまでもないが、不幸とは何か、とは難しい問題だ。普遍的な定義を1つだけに絞ったりすることはできない。「人生の舵取りを自らの手に握れない状況」を不幸だと考える人もいれば、まったく異なる理由から不幸を感じる人もいるだろう。しかし、これまで行われてきた研究の中には、今回の研究結果に近いものもある。例えば、2011年のある論文は、買い物は心理状態に「持続的なプラスの影響」を与えるとし、「自分へのごほうびは、非常に巧妙な動機づけとなる」と主張している。
しかし、買い物はストレス要因であり、実利主義的な人の場合は特に、ストレスの影響を強めるだけだと主張する研究も数多い。
2011年に発表された動画は、物質欲を満たそうとする人々は満足度が低い傾向にあり、日常的に前向きな感情を抱くことが少ないと訴えている。
米ハフィントンポストの独自調査によれば、ストレス解消のために買い物に走る消費者は、「ストレスを感じる度合い」も、「ストレスから影響を受ける度合い」も高い。「闘争・逃走反応」で言えば、「逃げる」傾向があり、ストレスとはまったく関係のない行動に走って事態から顔をそむけ、真正面から問題に向き合おうとしないというわけだ。
買い物はたしかに、一時的には不幸感を減少させるかもしれない。しかし、ストレスや不安、生きていく中でぶつかる大きな問題に取り組まないでいるとすれば、最終的には、人生全般に対する幸福度も大きく減ってしまう可能性があると言えるだろう。
[Ellie Krupnick(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
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