「核のゴミ」の最終処分場を国内に建設すべきか否か…。
自民党の資源・エネルギー戦略調査会(山本拓会長)は1月28日、原子力発電所から出る「核のゴミ」の最終処分場について議論する小委員会の初会合を開いた。日本大学の高橋正樹教授が講師として招かれ、「国内に最終処分に適した場所がある」と説明。今後まとめられる提言にも影響を与えそうだ。47NEWSは以下のように報じている。
講師として招かれた高橋正樹日本大教授(火山学)は、北海道東部や東北地方の太平洋側の一部など地層が安定している地域を示し、国内に最終処分に適した場所があると説明した。
(47NEWS「核のゴミ、国内処分可能と専門家 自民会合で地層安定地域示す」2014/01/28 21:39)
「核のゴミ」は、原子力発電所で使用した核燃料からウランやプルトニウムを回収した後に出る残りかすの通称。正式名称は「高レベル放射性廃棄物」だ。日本ではガラスと混ぜて固化処理している。現在、ガラス固化体は国内外に計約2500本あり、既存の使用済み核燃料を今後すべて再処理すると、約2万5千本になる計算だ。
30〜50年は青森県六ヶ所村に完成した中間貯蔵施設で保管できるが、その後は地下300メートルより深い場所に埋めて、放射線が低くなるまで数万年も置いておく必要がある。その場所をどこにするかをめぐって、10年以上も迷走している。
電力会社などが出資する原子力発電環境整備機構(NUMO)が2002年から候補地を公募したが、名乗りを上げた自治体は一つもなかった。そのため2013年11月、経済産業省は最終処分場を国が主導して適地を選ぶ方針に転換した。朝日新聞デジタルは、こう報道している。
経済産業省は、原発の使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物」の最終処分場について、国が主導して適地を選ぶ方針を決めた。自治体の立候補を待つこれまでの方法を改める。地盤が安定しているなど最終処分場に適した地域を100カ所以上示し、候補地選びを加速させる。
(朝日新聞デジタル「最終処分場、国主導の選定に 100以上の候補地提示」2013/11/20 09:59)
1月28日の高橋教授の発言は、こうした動きを受けたものだった。「国内に最終処分に適した場所がある」という発言が、自民党の提言に盛り込まれる可能性がある。「原発ゼロ」を掲げる小泉純一郎元首相は「放射性廃棄物の最終処分場を、原発事故の後に場所を見つけることは不可能」と訴えているだけに、今後、最終処分場を国内に建設することの是非を巡って議論が盛り上がりそうだ。
日本では2011年、原子力の技術支援と引き換えに、モンゴルに最終処分場を造る構想が浮上していたが、モンゴル側は拒否している。
【※】「核のゴミ」の最終処分場は国内に作るべきだと思いますか?コメント欄にご意見をお寄せください。
【関連記事】
関連記事