日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は、1月27日の朝、記者団に、NHKの籾井勝人会長が就任会見で従軍慰安婦問題について「戦争をしているどこの国にもあった」などと発言したことの見解を問われ、「籾井さんが言っている事はまさに正論」「僕が言い続けてきたことと全く一緒です」などと述べ、理解を示した。
また、橋下氏は、与野党から籾井氏に対する批判が出ていることについては、「民主党はもっと勉強をすべきだし、残念なのは、自民党の方からね、その批判が出るなんていうことはね、非常に残念」と述べた。NHKは放送法で中立性が求められる中、会長が発言したことについてどう考えるのかと問われ、「現場が何か作る時に、編集権とか番組を作るそういうところに介入してくることは問題だが、トップがその発言をすることは何ら問題ない」と、籾井氏の発言は問題ではないという考えを強調した。さらに慰安婦問題については「世界各国で、戦争時は似たり寄ったりのことは、戦場と性の問題はずっとある」などと持論を展開した。
一方、籾井氏は同日、朝日新聞の取材に対して、「私的な考えを発言したのは間違いだった」と話したという。
NHKの籾井勝人会長は就任会見で従軍慰安婦問題について「戦争をしているどこの国にもあった」などと発言したことについて27日、朝日新聞の取材に対して、「就任の記者会見という場で私的な考えを発言したのは間違いだった。私の不徳の致すところです。不適当だったと思う」と述べた。
(朝日新聞デジタル「NHK会長「私的な考え発言、間違い」 就任会見巡り」2014/01/27 13:25)
朝日新聞によると、この問題についてこれまで、自民党の佐藤勉・国会対策委員長が26日、「NHK会長として発言すべき内容ではなかった。慎重に発言してもらいたい」と述べている。また民主党の大畠章宏幹事長が「NHK会長の自覚がない」と批判するなど、与野党から批判が相次いでいた。
自民党の佐藤勉・国会対策委員長は26日、朝日新聞の取材に「NHK会長として発言すべき内容ではなかった。慎重に発言してもらいたい」と語った。
(中略)
民主党の大畠章宏幹事長は26日、記者団に「NHK会長の自覚がない」と批判し、国会審議で追及する考えを示した。結いの党の小野次郎幹事長も「国会で問題にしていく」、共産党の山下芳生書記局長は「『河野談話』など政府の立場とも、歴史的事実とも異なる」と強調。社民党の又市征治幹事長も「NHK会長たる者が歴史認識がなっていない」と批判した。
(朝日新聞デジタル「「NHK会長は慎重な発言を」 与野党、国会審議影響も」より 2014/01/26 20:04)
MSN産経ニュースによると、菅義偉官房長官は27日の会見で、「『個人としてであればという形で発言した。会長としてであればすべて、そこは取り消します』という形で言っているので問題ない」と述べ、国会審議への影響についても「通常国会の論戦への影響は全くない」と強調した。
■橋下徹大阪市長の発言(該当部分)
記者:NHKの会長の慰安婦の発言に対して、民主党が追及する構えを見せていますが、市長の見解は?
橋下氏:民主党はもうちょっと歴史を勉強した方がいいんじゃないですか。籾井さんが言っている事はまさに正論ですよ。まさにその通りです。あの主張に対して反論なんか出来る人はいないと思いますよ。僕が言い続けてきたことと全く一緒です。あの意見について、朝日や毎日、その他のメディアは大誤報をやってくれて、主語とかそういうものをすっ飛ばしてね、朝日新聞なんていうのは、僕が慰安婦制度を正当化したなんてことをギャーギャーギャーギャー言ってましたけど、籾井さんが言った事は僕がずっと言い続けていることで、きちっと反論できる人なんていないと思いますよ。
もっとね、みなさんも含めて歴史を勉強しないといけないし、今この時期、この状況になってね、中国や韓国のこの状況をみて、歴史という物が外交戦争に使われているということがあるんですよ。日本はね、そういうことを今までやってこなかった。日本の外交官だってね、そういうことはやらなかった。そういうことを言わずに、とにかく相手の気を害さないようにということでやってきたけども、中国もね。それなりの力を持って来て、今までのそのアメリカ一極のね、世界秩序の中で、我慢するようなそう言う状況じゃなくなった時にはね、それは歴史についてはそれは主張をしてきますよ。
安重根の問題だってみてください。あれは、韓国の主張だって、中国の主張だって、彼らは彼らの主張でそう言う主張があると思うけど、日本はあんな主張は認められませんよ。歴史なんていうのは、当事者によってそれは認識とか主張とか違うんですよ。当たり前ですよ、それは。だから、自衛戦争と言っても、相手方から見たら侵略だし、相手方から侵略だって言ったってこっちからすれば自衛だっていうこともある。
僕はサンフランシスコ講和条約を結んだ以上は、世界からね、侵略戦争だと、評価される事、そう言われることについて、日本として、日本の政治家として受け入れざるを得ないけど、それでもその他の歴史問題についてね、今までのように、黙ってたらいいなんて、そんなことをやっていたら、外交戦争で敗北しますよ。どれだけ、中国や韓国が今世界でプロパガンダをやっているんですか。今まで日本人というのはそういうことをね、相手の事を害するな。相手の気持ちを害しちゃいけない。ということで、言うな、言うなということになりましたけど、慰安婦問題なんていうのはこれは最たるものじゃないですか。これはきちっと言わないといけないんです。
日本人として。認めるところは認める。反省するところは反省する。でも世界からは不当なね、その評価を受ける事についてはしっかり言わないと、アメリカ人だって、ヨーロッパ人だって、完全にこれは勘違いしているんですから。だから、僕が言っているのはね。世界の国際社会においては、価値観なんていうのは多様化しているわけですから、一定の価値観をね、押し付けたって、それはね、理解をしてくれません。でも、世界の共通のね、物差しって言うのは、価値観の多用している共通の物差しはね、「フェアかアンフェア」なんですよ。この慰安婦問題っていうのは「アンフェア」です。日本だけを袋だたきにするようなね、世界の態度というのは「アンフェア」なんだから「アンフェアだ」って言えばいいんですよ。
それは、戦争っていうのは悲惨だし、二度とやっちゃいけないけれども、そう言う状況の中でね。似たり寄ったりのことは、みんな世界でね、どの国だってやってたし、戦争とその性の問題っていうのは、どの国だってね、みんな抱えて来た、不幸な歴史なんですよ。だからそのことは二度と繰り返さない。今のその価値観においてはこんなことはあってはならない。だけれども、日本だけが不当にね、袋だたきにされているようなこの現状というのはなぜかといったら、日本人が主張してこなかったからですよ。慰安婦問題について、どういう問題なのか。河野談話の問題点とか、きちんと言わなかったからでね。
籾井さんが言っていることは至極正当で、民主党はもっと勉強をすべきだし、残念なのは、自民党の方からね、その批判が出るなんていうことはね、非常に残念です。
こういう問題があったら必ずね、出てくる政治的中立性ですよ。出ましたよ。これまた、教育委員会のときもそうでしたけど。政治的中立性ってね、大体何か発言すれば、政治的なその価値観っていうのは必ず含まれるものでね。メディアからすれば、朝日新聞や毎日新聞からすればですよ。慰安婦問題については、籾井さんと反対意見なわけですよ。籾井さんがああいう発言をすれば、政治的中立性は害するというけれども、朝日や毎日のあの考えだって、政治的な見解ですよ。ひとつのね。籾井さんの考え方も政治的な考え方。もっと言えば慰安婦問題についてね、世界から袋だたきにあってもいいんだ。っていう主張も政治的な考え方。だから、朝日とか、毎日とか、仮にNHKの会長がああいう意見を言えば、それは政治的な中立性を害する事になるわけです。
政治的中立性というのは権力を使ってね。番組の編集権に介入してくることが政治的中立性を害するということで、それはトップが何か発言すれば政治的な意味は入ってきますよ。たまたまそれがね、政権側の考えなのか、朝日や毎日の考えなのか、どっちかは知りませんけれども、これを、籾井さんがたまたま言ったようなことを言えばね、政治的な中立性を害する。朝日や毎日が言っているような主張を言えば、政治的な中立性を害さない。これはおかしいですよ。籾井さんが言っていることは極めて正論。日本人が、特に僕らの世代がね。力のある籾井さんの考え方というのを、勉強して反論できるなら、反論を考えた方がいいですよ。どこが問題なのかね。今までそういうことを考える事なく、発言する事自体がダメだっていうそういう風潮だったけれども。まぁ、僕が言ったところで、世間は「わー」って「橋下が言った」ということで、こうなりましたけど、まぁNHK会長で、それなりの経歴のある人が、ああいうことを言われたということで、日本国民はしっかりここで考えないといけないと思いますね。籾井さんの発言が悪いっていうのであれば、どの部分が悪いのか論理的に言わないといけないです。そのことを論理的に論破出来る人はいないと思いますよ。
記者:NHKは放送法で中立性を定められている。受信料で成り立っている点もある。NHKの会長が発言されたことに対してはどう思う?
橋下氏:いや、問題ないんじゃないですか?だからその政治的中立性っていうけれども、それじゃ政治的に意味が無い発言なんていうのはあり得ないと思いますよ。何か発言すれば必ず政治的な意味が含まれていて、今まではメディア、特に朝日新聞や毎日新聞がすぐに騒ぐから、彼らが反対するような事を言わなければ騒がれなかっただけ。でも政治的な意図はそこに入っていると思いますよ。NHKの番組自体だってあれ、政治的な意図が入っているじゃないですか。いろいろ慰安婦問題とかね、戦争責任を追及した裁判のあの番組にしたって、その他含めて、番組には必ず政治的な意味というのは入っていると思いますよ。でも、それは仕方ないと思います。政治的な中立性というのはね、やっぱりそういった中で現場が何か作る時に、政治権力でね、編集権とか番組を作るそういうところに介入してくることは問題だけれども、トップがその発言をすることは何ら問題ないと思いますけどね。だからそこで発言をしたうえでね、そのような見解とかそういうもので、現場に介入してきたらそれは問題だと思いますけどね。その政治的中立性という言葉もね。そろそろ日本人は考えないといけないと思います。何かやろうと思えば、政治的な意味が含まれてくる。政治的な中立性というのはどういうことなのかということをしっかり考えないといけないと思いますよ。
記者:国会でNHKの予算審議もあるが、維新としてはそういうことを国会では問題にする必要はないと?
橋下氏:どこが問題なんですか?籾井さんの発言の。誰も論理的に反論できないと思いますよ。僕が言ってた事と同じだから、僕だって、論理的に何か批判を受けたら、必ずそれを論破できる自信はあるけれども、そう言う議論の場が与えられなかったから一方的にね、悪い悪いって言われましたけど、籾井さんの発言や僕の発言で、問題があるならどこかっていうことですよ。モラル上は悪い。現在は悪い。当時だってね、それはやっていいことかといったらそれはダメなことでしょう。二度とやっちゃいけないことでしょう。でも世界各国当時、戦争時においては似たり寄ったりのことは、みんな戦場と性の問題として、現代の紛争においてすら、戦場と性の問題はずっとあるわけですよ。古代の戦争からずっとあったわけですよ。そういうことをどうやって止めるかっていうことをこれから考えないといけないけれども、そういうことはあった。これは歴史的な事実。
日本も反省するけれどもね、でも、世界の状況、この慰安婦問題について日本だけが袋だたきにあっているのは違うということを言わないといけないと思いますよ。アメリカだって、戦場と性の問題、こういうことは避けて行こう。やっちゃいけないと、ヨーロッパやアメリカの価値観だったらいう。でも、現実問題として、第二次世界大戦とかそれ以降だって、みんなアメリカだって、フランスだって、イギリスだって、戦場において女性を性の対象としてみんな利用してたわけじゃないですか。なんで、日本だけが袋だたきにあうのか。それはやっぱり国家が組織的に、人をね、拉致、そして人身売買した。世界の戦場の性の問題とは特殊なことをやっていたんだ。というふうに世界で広まってしまっているから、日本だけは特殊だということで、批判を受けているわけですよ。日本だけ、本当に特殊なんですか?ということなんですよ。反省はするし、二度とやっちゃいけないけれども、日本だけがね、世界から袋だたきにあうような特殊性があったんならね、そこはしっかりねどこが特殊だったのかをね、しっかり検証しないといけないでしょと言っているわけです。
韓国だって、朝鮮戦争の時には、慰安婦制度というのをしっかりもうけてやってたわけです。なんでそういうことをもうけていたかと言ったら、強姦が多発するとか、性病が蔓延するとかいろんな理由でね。慰安婦制度を朝鮮戦争の時に韓国も持っていたというのは、韓国の軍事史の中の歴史にはっきりと位置づけられているわけですよ。そういうことを何も検証せずにね。日本だけ言われっぱなしで、朝日や毎日やその他のメディアがずっと慰安婦問題は日本が悪い、日本が悪いみたいな雰囲気を作って来たから、こういう状況になったけれども、ちゃんと歴史を勉強して戦場と性の問題、どういう事実が歴史的にあったのか、二度とやっちゃいけないけれども、日本だけがこういう形で世界から袋だたきにあうことがどういうことなのか日本人は考えないといけないと思いますよ。