地方公共団体が結束して国に訴える必要がある――。
京都府の山田啓二知事は1月7日、少子高齢化が進む現状について、全国知事会で非常事態宣言をする必要があるとの見解を示した。京都府の出生率は、全国でも東京都に次いで低いという。MSN産経ニュースが報じた。
全国的に少子高齢化が進む中、山田啓二知事は7日、「日本全体の課題として全国の地方公共団体が結束して国に訴える必要がある」として、自身が会長を務める全国知事会で非常事態宣言として発信する必要があるとの見解を示した。
(MSN産経ニュース「少子化で非常事態宣言 全国知事会で発信検討 京都 」より 2013/01/08 02:21)
山田知事は、少子化は日本全体の問題だとして「抜本的な対策が必要である」と述べたという。
■少子化の現状――欧米諸国と比較すると、低い出生率
少子化が進む日本。年間の出生数は、第2次ベビーブーム期(1971〜1974)に約200万人だったが、2011年には約105万人に。緩やかな減少傾向となっている。
一方、特殊出生率は、2005年に過去最低の1.26まで落ち込んだが、その後は2011年は1.39まで回復。微増傾向ではあるものの欧米諸国と比較するとなお低い水準となっている。
出生数および合計特殊出生率の年次推移
■政府の少子化対策――自治体のオリジナル対策に交付金4000万円
安倍首相は、少子化の危機を突破するべく、有識者を招いて「少子化危機突破タスクフォース」を開催。「子育て支援」「働き方改革」「結婚・妊娠・出産支援」などの対策に取り組んでいる。
また2013年12月に、自治体に対して、オリジナルの少子化対策に最大4000万円を交付すると発表した。2014年度内に計画の募集を開始し、精査した上で交付の可否を決めるという。
政府は、自治体が提案するオリジナルの少子化対策に対し、最大4千万円を交付する新事業を開始することが21日、明らかになった。地域独自のアイデアを喚起し、未婚化など少子化要因を解消するのが狙い。
計画には、結婚から子育てまで「切れ目のない支援」の仕組み▽結婚に向けた情報提供▽出産・妊娠に関する情報提供▽結婚、妊娠・出産、子育てのしやすい環境整備-の事業を盛り込むことが条件となる。
(MSN産経ニュース「「結婚から子育てまで」 少子化対策のアイデアに最大4000万円 政府が自治体に交付金」より 2013/12/22 08:58)
政府は、「地域における少子化対策の強化」として2015年度の補正予算案に約30億円を計上。「地域少子化対策強化交付金(仮称)」として、都道府県4000万円、市区町村800万円を上限に交付するという。
■子育てしやすい環境を――企業や自治体の取り組み
出生率の増加には、子育てしやすい環境づくりが大切だ。待機児童の解消や、子育てと仕事の両立支援、男性の働き方の見直しなどが必要とされている。
厚生労働省の発表によれば、平成24年10月1日の全国の待機児童の数は、22,741人。育休取得率は、女性が83.6%なのに対し、男性は1.89%となっている。また「少子化社会対策白書」によれば、6歳未満の子供を持つ男性の育児時間は、1日平均40分。欧米諸国と比較して半分程度となっている。
最近では、企業や自治体でも積極的な取り組みが見られるようになった。
愛媛県八幡浜市の菓子製造会社「株式会社あわしま堂」は、全社員の「育児休暇(育休)」を実施。男性社員も含めた全社員に対して、育児休業の取得を義務づけたという。
ユニークな育休制度を導入したのは、愛媛県八幡浜市の菓子製造会社「株式会社あわしま堂」。報道によると、同社は昨年12月16日から、男性社員も含めた全社員に対して、最低5日間の育児休業の取得を義務付けた。育休をとった場合、最初の連続5日間が有給扱いになるという。
(ハフポスト日本版「育児休暇を男性社員にも義務化 法律的には大丈夫?」より 2014/01/06 15:15)
同社は、女性社員の育休取得率が100%だったのに対し、男性社員は5.9%にとどまっていたことから、「意識改革のために」この制度を導入したようだ。
また東京都港区では、2013年度に「港区史上最大の保育定員拡大」を実施している。
港区は高層マンションが立ち並び子育て世代も多い。待機児童は195人(2013年4月1日)だが、全体に占める待機児童の割合が高く、1歳児を中心に「待機児童ゼロ」には至っていない。
港区は2013年度、私立認可保育園の新規誘致や緊急暫定保育施設を前倒しして開設するなどして、2014年4月までに定員を1363人まで大幅に増やす予算を計上。「港区史上最大の定員拡大」となった。(ハフポスト日本版「「ママたちの声を政治に反映し、産み育てやすい国に」待機児童問題に取り組む港区議会議員・柳澤亜紀さんに聞く「未来のつくりかた」」より 2014/01/05 09:19)
■本当に子育てしやすい社会とは――子育て世代の声
果たして、子育て世代にとって「本当に子育てしやすい社会」とは、どのようなものだろうか。ネット上には、様々な声が上がっている。
国や自治体、企業が、子育てしやすい社会の整備を進め、社会全体で子育てをサポートしていけるよう環境づくりが必要だといえる。子育て世代も、声を上げていく必要があるのだろう。
待機児童問題を解消するためにワーキングマザーから東京都港区議会議員に転身した、柳澤亜紀さんは語る。
柳澤さんは子育て世代以外の人たちにも、待機児童問題が生まれる過程や背景を粘り強く話すことを心がけている。すると、ほとんどの人は共感し理解してくれるという。「子供は地域の宝、日本の宝。将来の日本を支える納税者なんです。子供を産むのをどうしようとか、2人目の出産をどうしようとか、そういう悩みは完全になくしたい」
「私と同世代の30~40代の人たちには、自分たちの暮らしや社会を良くするために何が出来るのかを常に考えて行動してもらいたい。誰かがやってくれるじゃなくて、自分から動いて欲しい。待ってよかったということは一つもないから」
(ハフポスト日本版「「ママたちの声を政治に反映し、産み育てやすい国に」待機児童問題に取り組む港区議会議員・柳澤亜紀さんに聞く「未来のつくりかた」」より 2014/01/05 09:19)
※少子化を解消する取り組みが、企業や自治体でも始まっています。子育てしやすい社会とは、どのような環境でしょうか。あなたの声をお聞かせください。
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