安倍首相は1月9日、2014年最初の外遊に出発する。今回の訪問先は中東のオマーンのほか、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアのアフリカ3国。各国との経済連携を強化するほか、日本が国連安全保障理事会への復帰を目指す2015年の非常任理事国選挙へ向けた票固めを行うことも、訪問の目的の一つとされている。
MSN産経ニュースは、今後の安倍首相の外遊予定と日本の狙いについて次のように報じている。
一連の歴訪は、来年行われる国連安全保障理事会の非常任理事国選挙に向けた票固めの意味合いもある。(中略)焦点の中国・韓国への訪問は、昨年末の首相の靖国神社参拝で当面難しくなりそうだ。ただ首相は他の外国訪問を積み重ねることで、国際社会で中国に対抗しうる影響力確保に努める考え。
(MSN産経ニュース「首相、中国に対抗「地球儀外交」 9日からアフリカへ 北欧・バルト、カリブ歴訪も検討」より 2014/01/06 08:23)
国連の非常任理事国とは、国際平和の維持や国際紛争の解決を目的とした「安全保障理事会」を構成するメンバーの種類の一つ。任期は期限付きで再委任が認められない点や、拒否権を持たない点などが常任理事国とは異なる。しかし、安全保障理事会の決議権が与えられるので、国連の最高レベル会議の場で、国際社会に対して自国の意見を訴える機会ともなる。
日本はこれまでに10回、非常任理事国を務めたことがあるが、2010年を最後に当選していない。安倍政権は2014年度予算で選挙に向けた対策費に1億4000万円を盛り込むことを閣議決定。2014年中に、まだ投票先を決めていない国の国連大使を日本に招き、投票を働きかけるとされている。
日本が非常任理事国への当選を目指すのは、その先に常任理事国入りを目指しているからとされる。
視線の先には、悲願の常任理事国入りがある。安倍晋三首相は9月の国連総会演説で「安保理の現状が70年前のまま凍結されている現実は甚だ遺憾」と、常任理事国入りに意欲を示した。05年の安保理改革では、日本、ドイツ、インド、ブラジル(G4)の常任理事国入りに米中が反対し頓挫した経緯がある。外務省幹部は、非常任理事国に返り咲くことで「内部から国連改革の機運を高めたい」と話している。
(時事ドットコム「安保理入りへ始動=15年選挙へ票固め-外務省」より 2013/11/24 14:20)
外務省は安保理改革が必要な理由について、世界の人口の半分以上が住むアジアや国家の数が多いアフリカを引き合いに出し、これらの地域から常任理事国・非常任理事国が少ないことを挙げている。日本独自でアピールするのではなく、アジア・アフリカ諸国を巻き込んで、常任理事国の増加を訴えたい考えだ。
2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックの東京招致にあたっては、安倍首相は電話会議も含めて約150回首脳会談を行い、東京への投票をお願いしたという。安保理入りに向けて、安倍首相はどのような外交を繰り広げるのか。なお、安倍首相は昨年末、自民党のインターネット番組に出演し、今回のアフリカ外遊について次のように話している。
「年初にはアフリカの国々、コートジボアール等を訪問いたします。アフリカは日本にとってある意味外交上の「フロンティア」でもあるのですが、大切ですよね。日本はずっと地道な支援を続けてきました。今こそこれを開花させて行くときだと思っています」
(YouTube『【CafeSta年末特番!ゆく年くる年】 安倍晋三内閣総理大臣出演!「2013年を振り返る&2014年の抱負を語る!」』より 2013/12/26)
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