世界の国々の中でアメリカほど、古き良き時代のようにガソリンをふんだんに使っている国はない。補助金によってガソリン価格を相場よりかなり低く抑えている国々と比べてもだ。
証拠が必要なら、下の図を見てほしい。カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールのルーカス・W・デイビス教授が作成した、燃料補助金に関する最新レポートに掲載されているグラフだ。
このグラフは、1人当たりのガソリン消費量と、1ガロン(約3.785リットル)当たりのガソリン平均価格を、128ヵ国について比較したものだ。それぞれの円の大きさは、その国の人口を表している。
見てわかるとおり、1人当たりのガソリン消費量がアメリカほど多い国はない。ベネズエラやエジプトなど、ガソリン価格をアメリカより低く抑えている国が多くあるにもかかわらずだ(こうした国では、ほぼ国営化された石油企業に多額の補助金を与えることで、ガソリン価格を低く抑えている)。
もちろん、ガソリンよりディーゼル燃料に依存する割合が多い国もある。だが、1人当たりのディーゼル燃料消費量を考慮しても、消費量がアメリカに近づくのはクウェートとカナダだけだ。
アメリカ環境保護庁(EPA)によれば、アメリカで2011年に排出された温室効果ガスのうち、4分の1以上は「輸送機関」(乗り物)が占めている。それより排出量の割合が大きいのは「電気」(発電と送電)だけだ。
さらにEPAによれば、輸送機関による排出の半分以上が、ガソリンを燃焼する自動車やピックアップ・トラック、ミニバン、そしてSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)によるものだ。
世界的にも、ガソリン消費量が下がっている兆候は見られない。カリフォルニア大学バークレー校の試算によると、2015年までに世界中で約9000万ガロン(約3億4069万リットル)の石油が毎日消費されるようになるという。
多くの国々が補助金によって燃料価格を低く抑えていることも、この問題の大きな要素だ、とデイビス教授は主張する。教授によれば、すべての補助金をなくすだけで、世界の燃料消費量はすぐに2900万ガロン(約1億980万リットル)減少するという。
アメリカ以外の多くの先進国は、アメリカのように多くの燃料を消費しなくても好調な経済を維持できるような体制への転換を図っている。例えばドイツだ。世界銀行の試算で世界第4位の経済規模を持つドイツは、1ガロンあたり4ドル(1リットルあたり約1ドル)を超える税金を課していると、報告書は指摘している(日本では現在1リットル当たり53.8円の税金が課されており、そのうち25.1円が暫定税率分)。
これに対してアメリカでは、ガソリン1ガロンあたりの税金は、平均でわずか49セント(1リットルあたり約13セント)だ。これ以上ガソリン税を高くすると経済にとって打撃になるとよく言われるが、ドイツは、ほぼ間違いなく欧州で最も経済的に成功している国であるにもかかわらず、ガソリン税はそこまで高いのだ。
[Maxwell Strachan(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
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