国の安全保障に関わる重大な秘密を漏らした公務員や民間人を処罰するための「特定秘密保護法」が12月6日、成立した。各報道機関が行った世論調査では、安倍内閣の支持率が急落。特定秘密保護法の「修正・廃止を」と回答した人が82%に上る(共同通信社・世論調査)など、特定秘密保護法への懸念の声が浮き彫りとなっている。ハフィントンポストにも成立後、「国会運営に厳しい視線を」など様々な声が寄せられている。
■特定秘密保護法「修正」「廃止」8割超える 内閣発足後、最低の支持率
共同通信が12月8、9両日に行った世論調査で特定秘密保護法を今後どうすればいいかについて聞いたところ、「修正する」または「廃止する」と答えた人が82%にのぼった。内閣支持率も11月から10.3ポイント急落し、47.6%。50%を下回ったのは第二次安倍政権発足以来初めてという。
6日成立の特定秘密保護法を今後どうすればよいかについて、次期通常国会以降に「修正する」との回答は54・1%、「廃止する」が28・2%で合わせて82・3%に上った。「このまま施行する」は9・4%にとどまった。法律に「不安を感じる」との回答も70・8%を占め、「知る権利」侵害への懸念が根強い現状が浮き彫りになった。
(47NEWS 「秘密法「修正・廃止を」が82% 内閣支持率急落47%」2013/12/09 18:38)
NHKが12月6~8日に実施した世論調査でも厳しい結果となっている。特定秘密保護法を評価するかどうか尋ねたところ、「大いに評価する」が6%、「ある程度評価する」が27%だったのに対し、「あまり評価しない」が35%、「全く評価しない」が23%に上った。
国会審議では、行政が情報を恣意的に「特定秘密」に指定するなど、国民の「知る権利」が侵害される可能性が指摘されましたが、その可能性について不安を感じるかどうか聞いたところ、▽「大いに不安を感じる」が27%、▽「ある程度不安を感じる」が46%、▽「あまり不安を感じない」が15%、▽「全く不安を感じない」が5%でした。
さらに、特定秘密保護法を巡って、国会で議論が尽くされたと思うかどうかについては、▽「尽くされた」が8%、▽「尽くされていない」が59%、▽「どちらともいえない」が27%でした。
(NHKニュース「安倍内閣支持率 50%に下がる」2013/12/9 19:17)
安倍内閣支持率は「支持する」と答えた人は先月より10ポイント下がって50%で、第二次安倍内閣発足後、最も低くなった。一方、「支持しない」と答えた人は10ポイント上がって35%だった。
■安倍首相「時間を取って説明すべきだったと反省」
こうした世論調査の結果を意識してか、安倍晋三首相は12月9日、臨時国会閉幕を受けての記者会見で「厳しい世論は国民の叱声であると謙虚に真摯に受け止めなければならない。私自身がもっと丁寧に時間を取って説明すべきだったと反省している」と釈明した。
特定秘密保護法については「国民の生命と財産を守るためには、一刻も早く制定することが必要だった」と意義を説明。さらに「秘密が際限なく広がるといった懸念の声があるが、そのようなことは断じてあり得ない。一般の人が巻き込まれることも決してない」と語った。
(MSN産経ニュース「特定秘密保護法で『菅直人政権が行った都合の良い情報の隠蔽は起きない』」 2013/12/10 00:40)
■「熟議がなされないことこそ、民主主義の恥」 「より良い運営に与野党議員は知恵を絞って」などの声
ハフィントンポスト「特定秘密保護法が成立 国会前では採決に抗議の声響く」の記事に対し、読者からも様々な意見が上がった。寄せられたコメントを紹介する。
この法案の目的や趣旨に対しては、反対する議員や、国民はそんなにいないのではないかと思う。
上手く話し合いができない主な原因の一つは、与党に対する野党の劣化が著しいこともあるでしょう。何だか安心して、反論してる?与党に甘えている?感じがしないでもない。
やっぱり、必要性は感じるし、国民にも周知して、不安の払しょくと、より良い運営に与野党議員は知恵を絞ってほしいと思うのです。(kapibara さん)
(反対派や野党は)法の脆弱性を的確に分析し、それを踏まえた上で、”自分達が与党の立場”だったら、どのように法案を修正し、どのように対抗案を出すのかの肝心要の仕事が疎かになっていたということです。
こうした熟議がなされないことこそが、民主主義の恥であり、立法府の敗北です。
与党には適切な法の運用が求められることはもちろんですが、有権者も選挙を放棄することなく、消去法によって投げやりに投票をすることもなく、より一層の政治参加、政治監視が重要になります。
一番の第三者機関とは、日々政治を見続ける有権者だと思ってますから。(1014432さん)
今後の動向に注目すべき、国民が監視していかなければいけない、という声も。
多くのメディアでこの法律に対して反論が述べられていたとはいえ、内容には賛成する人もいるだろう。
しかし、国会の運び方には厳しい視線を注いでいかなければならないと感じる。
主権は私達国民にある。消費者的に政治を見ているのではなく、主権者として監視しなければなければならないのだ。
多くの人がデモに集まった。この勢いを次の選挙まで持続させられるかが今後私達に問われると思う。 (Hayato Kurosimaさん)
法案が成立した後の運用段階で重要な問題が起こらないよう、国民が妥当な責任を果たせるためにも、マスメディアも意識して報道されることを期待します。
個人的には、次の国政選挙となる2016年7月の参議院選挙では、「今回反対された政治家の方々」や「法改正を目指される政治家の方」という条件を、選択基準の一つに加えて、国会議員を選びたいと思います。 (Takayasu Iwasakaさん)
決まってしまった以上は、
特定機密監視法でも制定すべきだと思いますけどね。
適正な運用を監視して、不適切なものには是正と罰則を適応
出来る権限を担保すべきだと思いますけど。(mur1956 さん)
【※】特定秘密保護法について、引き続きあなたのご意見お聞かせください。
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