環太平洋連携協定(TPP)を巡って、12月1日に開かれた日米協議は物別れに終わった。アメリカ通商代表部のフロマン代表が来日して、甘利明TPP担当相と東京都内で会談。しかし、コメや麦など、日本の「重要5項目」の扱いについて両国の溝は深く、TPPの年内の妥結は困難な状況となった。NHKニュースが以下のように伝えている。
会談のあと、甘利大臣は記者団に対し、「極めて厳しい交渉をしたが、結論は出ていない。『安倍総理大臣の判断としてこれ以上は1センチも譲れない』という説明をした。アメリカ側からは厳しい追及もあったが、結局、協議を継続するということだ」と述べました。
また、甘利大臣は、記者団が「重要5項目を関税撤廃の例外とする方針に変更はないか」と質問したのに対し、「国会の決議や自民党の選挙公約を重く受けとめてギリギリの協議をした。それ以上は言えない」と述べました。
(「TPP関税協議、年内妥結困難に 日本の重要5項目で物別れ」2013/12/01 20:51)
TPP交渉で関税撤廃を扱う「市場アクセス」の分野においては、日本は(1)コメ(2)麦(3)乳製品(4)牛肉・豚肉(5)砂糖やデンプンなどの甘味資源作物を「重要5項目」に位置づけ、関税交渉のテーブルに載せない意向。これに対し、米国は「重要5項目」も、20年以上の猶予期間をつくるなどして撤廃するよう要求している。
TPP交渉に参加中の12カ国は、12月7日からシンガポールで閣僚会合を開くことになっている。「年内妥結」を急ぐアメリカは、交渉を取りしきるフロマン通商代表自らが、難航している分野を抱える国を訪問して、事前調整に乗り出した。1日に日本、2日にベトナム、3日にマレーシアの強行軍だが、早くも出鼻をくじかれる格好となった。
なお、重要5項目に関しては、自民党の西川公也TPP対策委員長が10月6日、関税撤廃できるかどうか自民党内で検討することを明らかにしたが、党内外からの強い反発を受けて政府・与党も方針転換。林芳正農水相は11月30日、北海道幕別町内の講演で、重要5項目を守る姿勢を明確にした。十勝毎日新聞が以下のように報じている。
環太平洋連携協定(TPP)で日本が「聖域」として関税撤廃からの除外を求める砂糖など重要5項目について、「(除外を求めた4月の)国会決議に基づき、最大限守り抜く姿勢に変わりはない」と強調した。
(十勝毎日新聞『TPP重要5項目 林農水相「最大限守る」』2013/12/01 13:21)
【※】TPP交渉において、日本の「重要5項目」を死守すべきか、それとも何らかの妥協をすべきか。読者の皆様はどのように考えますか?
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