海外紙、日中武力衝突の可能性に言及 さらに米空軍弱体化への指摘も
中国が23日、尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を宣言したことについて、安倍首相は25日、「日本に対して何ら有効性はない」などと国会で語った。また外務省も、一般的な公海上の飛行の自由を重大に侵害していると述べている。
フィナンシャル・タイムズ紙は、米国も「明確な言葉遣いの非難」を行い、やはり防空識別圏が重なる韓国も「非常に、非常に懸念」していることを中国側に伝えたと報じている。
【危ない橋は渡れない航空会社】
しかし日航や全日空は23日のうちに早くも、防空識別圏進入時には中国民用航空局当局に通知を入れる事を決断していた。日航は「政策自体についてのコメントはありませんが、私どもは安全運航のための手続きに従うほかございません」と述べている。
中国側は、防空識別圏への無断進入は「緊急防衛策」の対象となると宣言している(ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、非商業飛行についての話だと報じている)。日本も防空識別圏を持っているが、国際民間航空機関の指導を理由に飛行計画の提出を要望しているものの、「義務付け」てはおらず罰則もない、と同紙は伝えている。
【尖閣の本質は米国への挑戦】
各紙は突発的な武力衝突の危険拡大を懸念する。中国側の抗議行動が沈静化し、日本企業代表団の訪中が先週2年ぶりに再開されたり、イランの核対話がようやく前進した矢先での「奇襲」であることも、言及されている。
タイム誌は「戦争につながる可能性」と題し、尖閣は日米同盟の適用範囲だと繰り返しているヘーゲル米国防長官が「米国は日本と轡を並べて戦争に行くだろうと明らかにした」、と表現している。また同誌は、尖閣紛争の本質は既存超大国である米国の世界秩序に対し、台頭する革命勢力である中国が挑戦しているのだとの、ワシントン東西センターの研究を引用した。それによると中国は「米国に現在の世界秩序を維持する能力があるかどうかをテストし始めている」のだという。
【旧ソ連なみの金欠米空軍】
しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国が海上兵力の増強だけでなく制空権の確保にも力を入れ始めているのに対し、米空軍は予算問題により空洞化状態だと指摘した。米太平洋空軍司令官ハーバート・カーライル大将によると、米国の訓練レベルは冷戦期のソ連軍に近づいているという。予算不足により空軍戦闘部隊は月5~8時間の訓練しか行えておらず、さらに来年には飛行時間が19%削減される予定だ。これでは地域の各国からの信頼を得られないと、同紙はオバマ政権を批判している。
中国は空母導入のほか、ロシア製Su-35戦闘機の購入や、新型長距離地上攻撃巡航ミサイルを運ぶ改良型戦略爆撃機を発表している。
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