盗撮行為の悪質・巧妙化を受け、岩手県警はスマートフォンなどのカメラを下着などに向けて差し出す行為自体を禁止する県迷惑防止条例改正を検討している。盗撮しようとする行為を禁止。シャッターを押す前に被害者に気付かれ撮影されなかった場合など盗撮画像がなくても、取り締まりの対象となるという。
現行の条例では盗撮を禁止しているが、盗撮画像が確認できることが取り締まり要件になっている。そのため、女性のスカート内にカメラを入れたものの、シャッターを押す直前に被害者などに気付かれ撮影されなかった場合や、犯人が撮影後に画像を消去した場合は取り締まることができない。
そこで改正では、盗撮画像がなくても盗撮を取り締まれるように変更する。具体的には「カメラ等を着衣で覆われた下着等に向けて差し出す行為自体を禁止行為として規制し、盗撮画像の有無に拘らず、卑劣な盗撮行為を取り締まることができるよう改正する」としている。近年、シャッター音を無音化するアプリケーションが悪用されるなどの現状を踏まえたという。
改正のポイント
(1) 盗撮画像がなくても盗撮を取締りできるようにします
現行条例において、盗撮を禁止していますが、条文が「着衣で覆われている他人の下着等を撮影し、」となっていることから、撮影したこと(盗撮画像が確認できること)が取締りの要件となっています。
そのため、犯人がカメラ等を女性のスカート内に差し入れたものの、シャッターを押す直前に被害者等に気付かれて撮影に至らなかった場合、また、シャッターが押されたとしても、被害者等に気付かれて犯人が慌てて画像を消去した場合などは、盗撮画像が確認できないことから、現行条例では取り締まることができません。
(中略)
カメラ等を着衣で覆われた下着等に向けて差し出す行為自体を禁止行為として規制し、盗撮画像の有無に拘らず、卑劣な盗撮行為を取り締まることができるよう改正するものです。
今回の条例改正では、電子メールの連続送信など多様化するつきまとい行為を禁止する規定や他県と比較して低い罰則なども見直される。
現行条例に規定するつきまとい行為等は、行為類型が限定的であり、また、条例制定後 13 年以上経過した現在においては、つきまとい行為等の行為類型も多種多様化し、現行条例では対応できないものもあります。
例えば、ストーカー規制法に規定している下記のつきまとい等の行為類型である
・立ちふさがりや見張り行為
・行動を監視していると思わせるような事項の告知
・著しく粗野、乱暴な言動
・電子メールの連続送信
・汚物や動物の死体等の送付
・名誉を害する事項の告知
・性的羞恥心を害する事項の告知
等は、現行条例にはないことから罰することができません。そこで、現行条例のつきまとい行為等の禁止(第9条)と電話等による嫌がらせ行為の禁止(第10条)を一つの条文に統合したうえ、ストーカー規制法第2条に規定している行為類型に倣い、つきまとい行為等を整理・類型化しようとするものです。
また罰則については、他の県条例の平均程度に引き上げ、6月以下の懲役か50万円以下の罰金(常習の場合、1年以下の懲役か100万円以下の罰金)とする方針だ。
岩手県警は12月6日まで電子メール、郵送、ファクシミリのいずれかの方法でパブリックコメントを募集している。
この条例改正について、ネット上では「冤罪が出るのでは」と懸念の声も上がっている。
この条例改正について、みなさまのご意見お聞かせください。
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