GDP7-9月期は年率1.9% 4四半期連続プラス成長するも一時的に減速

内閣府が14日発表した2013年7─9月期国内総生産(GDP)は実質値で、前期比0.5%、年率プラス1.9%、4四半期連続のプラス成長となった。久々に持続的な景気回復となっていることが確認できた。ただ年率4%前後の成長が続いた直近2四半期からは大きく減速。
Reuters

内閣府が14日発表した2013年7─9月期国内総生産(GDP)は実質値で、前期比0.5%、年率プラス1.9%、4四半期連続のプラス成長となった。

久々に持続的な景気回復となっていることが確認できた。ただ年率4%前後の成長が続いた直近2四半期からは大きく減速。これまで貢献してきた個人消費の増勢が鈍り、輸出も減少するなど、民需の力強さが欠けた一方、支えたのは公共投資と住宅だった。

成長率減速は一時的と見られ、先行き10─12月期は消費増税前の駆け込み需要や設備投資回復で再加速が予想されている。

<消費・輸出の寄与低下、公共投資が下支え>

4四半期連続の成長はリーマンショックからの回復に当たる2009年4─6月期からの6四半期連続成長以来。ロイター予測のプラス1.7%を上回った。

ただ、7─9月期は4─6月期に比べて民間最終消費や設備投資、輸出といった民需の減速が目立った。

民間最終消費は前期比0.1%と、、4─6月期の同0.6%から増勢が一服。株価や円安が一服し、株式売買手数料など「金融サービス」が低調だったことが大きく足を引張ったほか、消費者マインドの低下も影響。

民間設備投資も前期の1.1%から0.2%に減速した。

外需の寄与度は前期比マイナス0.5%と3四半期ぶりにマイナスに転じた。輸出数量がアジア向け中心に減少した一方で、輸入が内需好調で増加したため。

好調だったのは、公的資本形成。前期比6.5%と伸びを高めた。2月に成立した10兆円を超す大型補正予算の執行が本格化したことで、公共投資が成長の押し上げに寄与した。ただし、4─6月期に契約がピークとなったことから、その効果が7─9月に表れたもので、今後は公共投資の寄与はピークアウトすることになる。

住宅投資も前期比プラス2.7%と大幅に増加。2014年4月の消費税率引き上げを控えた駆け込み需要の高まりが寄与したとみられる。

<デフレータ改善傾向、デフレ脱却へ前進>

GDPデフレーターは前年比マイナス0.3%と、下落幅を縮小。天候不順による野菜の相場高や、石油製品価格の上昇などが主因と見られる。着実にデフレ脱却に向けた動きが続いている。

雇用者報酬は、実質で前期比マイナス0.6%と、3四半期ぶりの減少。民間企業では夏のボーナスなどで増加傾向がうかがえるものの、地方公務員の賃下げの影響が大きく、民間給与の増額ではカバーしきれなかった。

<減速は一時的要因多く、再加速へ>

今回の7─9月GDP1次速報では、夏場に成長率が減速したことが明らかとなったが、政府も民間調査機関でも一時的な減速と受け止めている。少なくとも年度内は消費増税前の駆け込み需要や企業の在庫積み増しが予想されているため。加えて、雇用所得環境の回復傾向、設備投資の回復なども寄与すると見られている

駆け込み需要だけにとどまらない前向きの要因も重なることから、内閣府幹部は「内需は底堅く、景気は上向いている。成長率が緩やかだったのは一時的で、年内は再加速し着実な動きが続くだろう」と見ている。

[東京 14日 ロイター]

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