消費税を増税した途端に景気減速?7~9月期のGDPは前期よりも落ち込む可能性大
2013年11月13日に公表予定の7~9月実質GDPの数値は、好調だった4~6月期に比べて大きく落ち込む公算が高くなってきた。消費税増税を決定した直後の減速となれば、補正予算や来年度予算の編成にも影響を及ぼす可能性がある。
内閣府の公表を前に民間の調査会社が成長率予測の発表を始めている。大和総研は年率1.8%、日本総研では年率1.6%の成長を予想している。4~6月期の実質GDP成長率は年率3.8%という高い数値であったが、ここからは大きく後退することになる。
成長が鈍化する最大の原因は、個人消費の落ち込みと輸出の不振である。7月から9月にかけての小売店の売上動向は、9月に挽回の傾向が見られたものの、夏場は総じて冴えなかった。激しい落ち込みというわけではないが、消費マインドは以前に比べて低迷している。
これに拍車をかけたのが輸出の不振である。日本の輸出は2012年の3月をピークに減少が続いてきた。2013年の3月に一旦底を打ち、この反動で4月には増加に転じたものの、その後は横ばい状態が続いている。世界経済で何とか好調さを保っているのは米国だけという状況であり、新興国向けや欧州向けの輸出が振るわない。また円安やエネルギー不足によって輸入は増加していることから、GDPにとってはさらにマイナス要因となった。
結果的に7~9月期のGDPは低成長となり、しかもその内訳は多くが公共事業に依存する可能性が高くなってきた。そもそも好調な個人消費についても、多くが何らかの形で公共事業に依存しているとの見方もある。今年度の公共事業の発注が一服してしまったことで、個人消費も足踏み状態になった可能性がある。
もし内閣府による公式の数値も、民間各社と同様に低いものとなった場合、現在、編成作業が進められている補正予算と来年度予算にも影響を与えることになるだろう。現在、消費増税への対策として総額5兆円の補正予算と減税措置が検討されているほか、来年度予算案の概算要求は総額で100兆円を超える規模となっている。
経済財政諮問会議の民間議員が、来年度予算について概算要求から3兆円を減額するよう求めるなど、財政再建を求める声は大きい。だがGPDの落ち込みが大きいという認識が広がれば、より大型の景気対策を求める声が高まってくることはほぼ確実である。来年は消費税10%への増税というさらに大きなカベもあることから、安倍政権としては景気失速だけは何としても避けたい状況だ。
当初、規制緩和を軸に検討が進められていた成長戦略だが、いつの間にか、大型の公共事業を連発する状況になりつつある。安倍政権は、公共事業という麻薬から抜け出せなくなってしまったかつての小渕政権に近づいているのだろうか?
関連記事