「進撃の巨人」170ヶ国へ同日配信 講談社の新サービスは海賊版を駆逐できるか?
講談社は28日、アニメやドラマの動画共有サイトを運営する米クランチロールと提携し、電子書籍の英語版を購読できるサービスを開始する、と発表した。「進撃の巨人」「Fairy Tail」「宇宙兄弟」など12作品が配信される。30日から開始される予定だ。
なおクランチロールは、アメリカとイギリスを含む170の国でサービスを展開しているが、日本、中国、フランス、ドイツ、イタリア、メキシコ、ブラジルなどは対象外だ。
【有料会員は読み放題】
同サービスでは、いくつかの作品を無料で読むことができるほか、有料会員は、制限なしで広告掲載のない漫画を楽しむことができるという。コミック・ブック・リソーシズ(CBR)によると、月間購読料は、4.99ドルになるようだ。配信される作品は2014年の夏までに、50作品に拡大する予定。どのコンピュータのOSでも、iOSやアンドロイド端末でも利用できるという。
【狙いは海賊版対策】
新サービスは、基本的に、海賊版入手に利用されるサイトと同じ方式だとCBRは報じている。ただ、当然、作者と出版社の許可を受けているというところが大きく異なる。
クランチロールのプレミアム会員は、今年3月には20万人に達した。講談社は提携により、クランチロール会員へ同社作品を訴求し、無料で出回る海賊版に対抗することが狙いのようだ。
講談社は、これまでも英語版の出版に力を入れてきた。しかし、英語版の新刊発売までは、短くて3ヶ月、長いものでは12ヶ月もかかる。このため、待ちきれない海外の読者は自分たちで翻訳を行い、無料の海賊版が、日本語版と同日、あるいは、それ以上に早くネット上に出回る結果になっている、とジャパン・タイムズ紙が報じている。
同紙によると、講談社は、日本での雑誌発売日と同日にクランチロールで英語版を配信するとしている。また、海賊版サイトの多くは、広告がうるさく、ダウンロードも遅いが、それに比べて同サービスは、快適で安定した環境を読者に提供できる、と自信を示しているという。
今のところ扱う漫画は限られており、クランチロールの中ですべての漫画作品を選べないという不満は残るが、人気が非常に高い作品を配信することで、これまで海賊版を利用していた読者の関心を引くことは十分にできるだろう、とCBRは評価している。
【海外ユーザーから歓迎の声】
講談社とクランチロールの提携について、ネット上では、「出版社がようやくネット配信を始めた。これまで彼らは大きな利益を失っているからね。やっと態勢を整えて、時代にあった商売を始めた訳だ。会社にとってもいいことだよ」など歓迎する意見が多く見られる。一方、「私も出版社はいい事業判断をしたと思う。でも、もう少し早く始めていれば、市場でもっと大きなシェアを獲得できただろうに。みんなもう海賊版に慣れちゃってるからね」など、出遅れを指摘する意見もあった。
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