「ロコモ」という言葉、知っていますか?
加齢や生活習慣が原因で足腰の機能が衰え、介護が必要になるリスクが高い状態を指す「ロコモ」。高齢者の問題だと思っている人も多いかもしれない。しかし、40代以上の5人に4人が予備軍といわれ、40代から兆候が見られる人もいる。ロコモにならないためには、20~30代からの対策が重要。鍵は「日ごろからの運動」「美姿勢」「食、栄養ケア」だ。10月18日、東京都内で味の素主催のセミナーが開かれ、ロコモ予防のポイントが紹介された。
「ロコモ」は「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)の略称。骨や関節、筋肉などの運動機能が低下し、寝たきりになったり、介護が必要になったりするリスクが高い状態をいう。要支援・要介護になる最大の要因で、男性より女性の方が多いとされる。日本整形外科学会が2007年に定義。認知度が高まった「メタボ」(メタボリックシンドローム)にならい、予防に力を注ぐ。
アミノ酸を研究する味の素は「アクティブシニア プロジェクト」を立ち上げ、ロコモ予防を進めている。
(味の素サイエンスセミナーに登壇した整形外科医・中村格子さん、国立長寿医療研究センター研究所長・鈴木隆雄さん、管理栄養士の柴田真希さん=左から)
■筋力減少を防ぐ―運動とアミノ酸
ロコモ予防の第一歩は、加齢による筋力減少(サルコペニア)を防ぐことだ。サルコペニアは45歳ごろから始まるため、20~30代から骨や筋肉の量を高める必要がある。
国立長寿医療研究センターの鈴木隆雄・研究所長によると、サルコペニアの原因は、性ホルモンの低下や低栄養など。男性より女性の方が筋肉量や骨の衰えがみられる。
介護が必要になった主な理由のうち、運動障害と栄養障害が50.1%を占める。そのため、鈴木さんは「運動ケアと栄養ケアで約半数が予防可能。いつまでも自分の足で歩ける、健康寿命を延ばすためには、運動習慣と食習慣の改善が重要」と指摘する。
鈴木さんらが、75歳以上のサルコペニアの女性を対象にロイシンを多く含む必須アミノ酸の摂取や運動と、筋肉の量や歩行速度の関係を調べたところ、必須アミノ酸を摂取することで、サルコペニア対策の効果が認められた。鈴木さんは「筋肉の量や力を高めるためには運動が一番効果的。しかし、歩行困難な高齢者がロイシンを多めに含んだ必須アミノ酸サプリメントを服用することで、サルコペニア予防が容易になる」としている。
■「美姿勢」で「姿勢エイジング」を防げ
姿勢の悪化は筋肉の低下につながる。骨や関節を支え、良い姿勢を保つ筋力「姿勢筋」をつけ、日常生活でも美しい姿勢を心がけることがロコモ予防になる。
「美しい姿勢をつくる運動で、美姿勢を身につけ、老化防止を。よい姿勢はよいメンタルにもつながる」と整形外科医の中村格子さんは呼びかける。
まず、自分の姿勢をチェック。壁に背中をつけて立ったときに、腰と壁の間にスペースが空きすぎているなら、反り腰気味。逆に手が入らないようだと、猫背になっていて、ひざや腰を痛める恐れがある。
中村さんは、タオルで簡単にできるエクササイズ「美姿勢メソッド」を紹介。「『姿勢エイジング』は高齢者だけの問題ではない。できるだけ早いうちから始めることが大事」と呼びかける。
■ロコモ対策メニュー
ロコモ対策になるのは、栄養のバランスのとれた食事。主食のほかに、主菜、副菜、汁物など毎食3~4皿用意する。管理栄養士の柴田真希さんは「筋力アップに必要なたんぱく質(アミノ酸)、たんぱく質の合成を促進するビタミンD・ビタミンB6・ビタミンK、骨を丈夫にするカルシウムを一緒に取ると効果的」と話す。豚肉の赤みやサケ、鶏ささみ、卵、牛肉の赤み、プロセスチーズなど高たんぱくな食材を活用し、バランスよく取り入れることが大事だ。
【ロコモを予防する食事】
1) 献立は毎食3~4皿(主食、主菜・副菜、汁)
2) 高たんぱくなおかずをもう1品加えたり、間食などでタンパク質を積極的に摂取。
3) 過食・小食、塩分摂取量を抑える。アルコールの過剰摂取を控える。
4) 高機能食品、サプリメントを上手に取り入れる。
5) よくかみ、楽しく食べる。
(味の素・サイエンスセミナー 柴田真希さんの講演「今から始める効果的な食事のとり方」より)
ロコモ対策メニューを自分で考えるのは難しい・・・。
そんな人には味の素「からだごはんラボ」をチェック。毎日簡単に作れる「ロコモ対策メニュー」が紹介されている。
■あなたは「ロコモ」?
日本整形外科学会は「ロコモ」になる可能性を判定する「ロコモ度テスト」を作成している。この機会に、チェックしてみてはいかが?
※あなたが普段、健康を維持するために心がけていることは何ですか。「ロコモ予防」で気をつけていることはありますか。ご意見をお聞かせ下さい。
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