育休中の手当が増える−−。
厚生労働省は10月25日、育児休業中の人の所得を補う「育児休業給付」の支給金額を、引き上げる案方針を固めた。現状は育休前の給料の50%相当を支給しているが、育休当初半年間に限り、3分の2に引き上げるという。47NEWSが報じている。
厚生労働省は25日、育児休業を取得した人に雇用保険から休業前賃金の50%を支給する「育児休業給付」を、当初の半年間に限って67%に引き上げる方針を固めた。子育て世代への経済支援を強化し、あまり育休を取らない男性に積極的な取得を促すのが狙い。
(47NEWS「育児休業給付増額、賃金の67% 当初半年間、男性の取得促す」より。 2013/10/26 02:00)
育児休業給付は、原則子供が1歳になるまでの間、休業に入る前の賃金50%を支給する制度。夫婦揃って育児休暇を取得する場合は1歳2か月まで支給され(パパ・ママ育休プラス)、また、保育所に入所できないなどの場合には1歳6か月まで、支給期間を延長できるケースもある。対象となるのは、雇用保険の保険料を支払っている人。育児休業に入る前の2年間、11日以上働いた月が12か月以上あることが条件となる。
田村憲久厚生労働相は今年7月、支給額を6割にできるかどうかや、支給額上限の引き上げなどを検討するよう指示を出していた。男性の育休取得率が低いのは、育児休業給付の額が低いからとの理由が考えられるためだ。
育児休業給付は、これまで数回に渡って支給額の引き上げが行われてきたこともあって、受給者が増えている。厚生労働省によると、2012年度の当初利用者は23万7383人。平均で月額11万1932円を受給しているという。このうち、女性の平均受給月額は11万1765円であるのに対し、男性は14万2708円。この額が単純に50%から67%になると計算すると、男性は19万円程度を受給できるようになる。
しかし、現行の制度に関しては、支給額以外にも幾つかの課題もある。
まずは、育児休業給付の対象者は増えるのかという点。女性の就業者の半数以上が非正規労働者という現状では、育児休業の直前の雇用期間が短いため、給付の制度の対象とならない方が多いのではないかとの見方もある。
また、支給期間に関する問題もある。安倍政権は成長戦略の柱に女性の活用を掲げており、今年4月には、子どもが3歳になるまで育児休業を取ることができる「育休3年」の呼びかけを行ったが、この期間についても育児休業給付の支給対象となるのかという点は気になるところだ。
この他、育児休業給付の財源についても、雇用保険の引き上げに関する議論が必要という点も指摘されている。
育児休業給付の給付拡大は、少子化対策に効果的に働くのか。今後の議論の成り行きが注目される。
育児休業給付の引き上げについて、どう考えますか。あなたの意見をお寄せください。
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