台風26号で甚大な被害を受けた伊豆大島で、報道ヘリコプターの飛行自粛要請が出ている。上空を飛ぶヘリの騒音で救助活動などに支障が出ているのが原因。10月21日、大島町役場が各報道機関に「飛行を可能な限り控えてほしい」と、書面で要請したことをMSN産経ニュースが報じている。
同町によると、台風26号の被害が発生して以降、複数の報道ヘリが上空を飛行する際に出る音で、住民向けの防災無線や、屋外で捜索活動に携わる関係者の間で使われている無線連絡が聞こえにくい状況になっているという。
(MSN産経ニュース 「防災無線聞こえぬ」 報道ヘリの自粛要請 大島町 2013/10/21 21:30)
同サイトによると、住民から町に複数の苦情が寄せられていたという。10月16日は、NPO法人に勤める白井直さんが、以下のようにFacebookに投稿。Twitterなどで伝聞で広まり、ネット上で拡散していた。
なお、今回の動きについて、10月17日にJ-castニュースは「早とちりによる情報拡散」として、デマ情報である可能性を示唆していたが、報道ヘリで救助活動に支障が出ていたのは事実だったようだ。J-castニュースも22日に「報道ヘリ自粛要請」を報じている。
伊豆大島では大規模な土砂崩れが集落に押し寄せ、10月23日17時現在で30人の死亡が確認されている。太平洋上では台風27号と、28号が続けざまに発生して伊豆大島に迫っている。23日には高齢者ら119人が島外に避難することになった。
こうした危機的な状態の中、報道としても慎重さが求められている。離島経済新聞の鯨本あつこさんも17日、ハフィントンポストに掲載した記事で以下のように訴えている。
約8000人の島人を守る町長にとっても「初めての経験」である豪雨です。小さな島だけに犠牲者が知り合いであることも多く、島人の誰もがショックを受けていることをどうか理解いただき、慎んだ報道をお願いしたい。
(
鯨本あつこ 伊豆大島の災害。どうか慎んだ報道をお願いしたい 2013/10/17 10:35)
【※】天災を伝えることは報道の重要な役割ですが、今回のように救助活動の防げになったり、地域住民に迷惑をかけることもあり得ます。皆様は天災報道でメディアはどのようなことを気をつければいいと思いますか。コメント欄にご意見をお寄せください。
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