この1年で日本に起こったのは富裕層の激減だった。今年6月までの間に、130万人もの富裕層が消えた。アベノミクスのは、なぜこのような結果を招いたのか?
アベノミクスで日本の富裕層が激減!? その理由とは
クレディ・スイスがまとめた世界の富に関する報告書「2013年度 グローバル・ウェルス・レポート」の中で、世界的にも劇的な変化をみせた日本の状況が注目されている。
【富裕層の激減】
同レポートの昨年度版では、日本の家計の富は前年比1.3%増(28.1兆ドル、約2,190兆円)となり、米国に次ぐ第2位の地位を堅調に維持していた。100万ドル(約1億円)の純資産を持つ富裕層の数も、前年比で8万3千人増加し、360万人で世界第2位だった。今後も安定した成長が見込まれ、2017年までの5年間でもさらに25%拡大することが予想されていた。
しかし、この1年で日本に起こったのは富裕層の激減だった。2012年6月から今年6月までの間に、130万人もの富裕層が消えたという。世界的にも類を見ない減少幅であり、日本の次に多く富裕層を失ったブラジルでさえもその100分の1程度の1万2000人だという。
【原因は為替か?】
日本政府が景気回復を謳う中で、何か起こったというのであろうか。そのからくりは為替にあった。
昨年度の発表時点では、対ドル円高が進んでいた影響もあり、不景気とはいえドル換算では全体的な富は拡大していた。
しかし、アベノミクスの影響を受け、22%もの暴落をみせた円安の結果、日本国民の富は5.8兆ドル分も減少したことになった。これは国の富の20%にあたる。2013年上半期でのGDPの成長率は、日本円で計算すると前年同期比2%増だったが、米ドルに換算すると21%減となってしまう。
クレディ・スイスは、昨年では予想もできなかった今の日本の状況を「アベノミクスによるショック療法」と呼び、この刺激策の行方に注目している。
一方で、海外メディアは、日本の可処分所得の平均は年間で24,147ドル(約240万円)であり、米国とほぼ同等、教育や能力、資源やインフラなどの包括的な豊かさでも米国に次ぐ2位であると補足しており、際立って悲観的な見方ではないようだ。
【関連記事】
関連記事