中国の新興スマホメーカー「小米」(シャオミ)の勢いが止まらない。2010年の創業からわずか3年、年間売上は4800億円に達しようとしている。
小米の正式社名は「北京小米科技」。2010年4月創業と新興のスマホメーカーだが、今年の年間売上高見通しは300億元(約4800億円)に達するほど急成長を遂げている。
米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年のスマホ販売台数は約700万台、今年は目標を2千万台に設定。9月に発表した新製品「Mi3」の価格は1999元(約3万2千円)と米アップルの人気スマホ「iPhone」の廉価版「5C」のほぼ半額という。
(MSN産経west「【経済裏読み】“中国のジョブズ”“中国のアップル”が仕掛けるスマホ下克上、怯える「サムスン」…最後は“中韓共食い”の見方も」より 2013/10/15)
トレンドフォースの調査によると、中国国内の市場シェアでサムスン(21.5%)、アップル(8.3%)、ノキア(8.2%)、ファーウェイ(8.0%)につぐ第5位(7.1%)。2013年第2四半期に限って言うと、アップルも抜いたと東洋経済オンラインでは報じている。
躍進の最大の理由は低価格と高機能を両立させていること。新製品は年間1機種のみと絞り込み、大量生産することでコストを削減。OSは無料で使用でき、自由に改変できるオープンソースのAndroidをカスタマイズ。だが、部品は高スペックなものを使っているため、低価格を実現できる。しかし、部材のクオリティの差はあるという。
小米と提携経験のある部品業者は、「小米はアップルのスペックとまったく同じだと標榜しているが、両社が使っている材料には差がある」と明かす。例えば、7月に出した「紅米」機は4.7インチ画面、クアッドコア・プロセッサというハイスペックにもかかわらず、800元(約1万2800円)以下という破壊的な価格だ。しかしサプライヤー側は、「パネルのサイズやカメラの画素数は同じでも、部品にはAランクとBランクの差がある。これが安くできる秘密だ」と指摘する。
(東洋経済オンライン「中国のジョブズ、北京小米CEO雷軍氏の素顔」より 2013/10/01)
低価格の原因は、販売方法にもよっている。広告費を全く使わず、中国版ツイッターと呼ばれる「微博」など、ネットの口コミを活用。さらに通信事業者とは関係なく、単独でオンラインのみで販売し、店舗コストを下げている。ネットサービスを使いこなす、若くてハイスペックを望むユーザーを刺激して巻き込み、評判を形作っているのだ。
携帯電話会社、関連メーカーは、新製品の発売にあわせ、莫大(ばくだい)な宣伝広告費を投入し、販売拡大を狙う。これに対し、小米は広告費はほとんど使わず、交流サイト(SNS)やミニブログなど、インターネット上の「口コミ」に絞ったマーケティングを展開している。
前出の関係者は「ネット上の若者はスマホのヘビーユーザーで、IT分野に精通している。小米は彼らをくすぐる情報を発信し、安くて高機能のスマホを提供してきた。これがネットの世界で一気に広まり、ファンを爆発的に増やした」と解説する。
(MSN産経west「【経済裏読み】“中国のジョブズ”“中国のアップル”が仕掛けるスマホ下克上、怯える「サムスン」…最後は“中韓共食い”の見方も」より 2013/10/15)
新商品発売日を話題性のある「人類の終末」の12月21日に設定。販売数を5万台と限定し、オークション方式を取ることで、ゲーム感覚を演出。この告知はオークション4日前から集中的にネットメディアで実施。定番であるウェイボーのバナー広告以外にも、「今日の話題ランキング」や「お勧めの話題」、「お勧めイベント」などで新発売オークションについて広く告知した。
さらに、複数の新浪ウェイボー系列のニュースメディアでも集中的にデジタル・携帯関連ニュースなどで同製品に関する記事を掲載。ハイテクニュースの専門家やウェイボー有名人に、同製品やオークションについて議論してもらって注目を集め、21日のオークション当日に照準を当てて盛り上げていく。
(PUNTA「5分14秒でスマホ5万台を完売:小米の「空腹」+ウェイボー・マーケティング」より)
もうひとつ、小米の躍進で忘れてはならないのが、創業者の雷軍氏の存在だ。雷氏はMicrosoft Officeの互換ソフトを開発する会社の勤務を経て、複数のネットベンチャーを起業。2010年に小米を立ち上げた。
企業のオーナーは、億万長者のレイ・ジュン(雷军)。42歳で、推定17億ドルの資産を保有している。大学生のころからスティーブ・ジョブズの熱狂的なファンで、あらゆる外見的特徴を真似ている。服装は、クラシックなジーンズに黒いポロシャツとスニーカーで、髪は無造作に片側で分けている。彼が登壇する基調講演は、背後に巨大なスクリーンのある大きな舞台で行われる。そこには企業の達成した成果が表示され、そこでは彼が唯一の主人公だ。
(WIRED.jp「Xiaomi:アップルとサムスンを脅かす企業」より 2013/09/19)
しかし、故ジョブズ氏と全く違うのはものづくりの姿勢だ。故ジョブズ氏は自らの理想を妥協なく追い求めるのに対し、雷氏はユーザーの声を製品にスピーディに反映し続けて、人気を得ている。雷氏はインタビューで、こう答えている。
多くのファンが、完璧だと思う携帯電話を思い描いてます。しかし、実際に作るのは難しい。だから次のモデルで搭載すべき機能に対して、私達にフィードバックをくれるのです。そしてそれを私達がきちんと実現すれば、彼らは友達に良いニュースとしてシェアしてくれるわけです。
(Tech in Asia「Founder Lei Jun Talks About Xiaomi, China’s Disruptive Phone-Maker [INTERVIEW]」より 2012/10/15)
快進撃を続ける小米。8月にはGoogleよりAndroid担当の高級幹部を引き抜き、、世界進出も噂されている。さらに攻勢を強めている。今年中に2000万台、3000万台という販売も予測され、世界進出するのか、このまま勢いが続くのかなど、注目が集まっている。
「主力のスマホ事業で逆風が吹き始めたサムスンにとって、小米の躍進は気になるところでしょう」(関係者)。今年は2千万台を販売目標に掲げているといわれる小米だが、一説には3千万台に達するとの予測もある。業界内では「あと1年もすれば、間違いなくサムスンを脅かす存在になる」との意見も。
(MSN産経west「【経済裏読み】“中国のジョブズ”“中国のアップル”が仕掛けるスマホ下克上、怯える「サムスン」…最後は“中韓共食い”の見方も(1/4ページ)」より 2013/10/15)
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