「中国のジョブズ」率いる「中国のアップル」スマホで躍進する小米(シャオミ)とは?

中国の新興スマホメーカー「小米」(シャオミ)の勢いが止まらない。2010年の創業からわずか3年、年間売上は4800億円に達しようとしている。
BEIJING, CHINA - SEPTEMBER 05: (CHINA OUT) Xiaomi CEO Lei Jun attends the launch of the new Xiaomi smartphone and Xiaomi TV at National Convention Center on September 5, 2013 in Beijing, China. China's smartphone maker Xiaomi Corp, which recently hired former Google vice president Hugo Barra, launched its third-generation Android smartphone 'Mi-3' and a 47-inch smart television on Thursday. (Photo by ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images)
BEIJING, CHINA - SEPTEMBER 05: (CHINA OUT) Xiaomi CEO Lei Jun attends the launch of the new Xiaomi smartphone and Xiaomi TV at National Convention Center on September 5, 2013 in Beijing, China. China's smartphone maker Xiaomi Corp, which recently hired former Google vice president Hugo Barra, launched its third-generation Android smartphone 'Mi-3' and a 47-inch smart television on Thursday. (Photo by ChinaFotoPress/ChinaFotoPress via Getty Images)
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中国の新興スマホメーカー「小米」(シャオミ)の勢いが止まらない。2010年の創業からわずか3年、年間売上は4800億円に達しようとしている。

小米の正式社名は「北京小米科技」。2010年4月創業と新興のスマホメーカーだが、今年の年間売上高見通しは300億元(約4800億円)に達するほど急成長を遂げている。

米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年のスマホ販売台数は約700万台、今年は目標を2千万台に設定。9月に発表した新製品「Mi3」の価格は1999元(約3万2千円)と米アップルの人気スマホ「iPhone」の廉価版「5C」のほぼ半額という。

(MSN産経west「【経済裏読み】“中国のジョブズ”“中国のアップル”が仕掛けるスマホ下克上、怯える「サムスン」…最後は“中韓共食い”の見方も」より 2013/10/15)

トレンドフォースの調査によると、中国国内の市場シェアでサムスン(21.5%)、アップル(8.3%)、ノキア(8.2%)、ファーウェイ(8.0%)につぐ第5位(7.1%)。2013年第2四半期に限って言うと、アップルも抜いたと東洋経済オンラインでは報じている

躍進の最大の理由は低価格と高機能を両立させていること。新製品は年間1機種のみと絞り込み、大量生産することでコストを削減。OSは無料で使用でき、自由に改変できるオープンソースのAndroidをカスタマイズ。だが、部品は高スペックなものを使っているため、低価格を実現できる。しかし、部材のクオリティの差はあるという。

小米と提携経験のある部品業者は、「小米はアップルのスペックとまったく同じだと標榜しているが、両社が使っている材料には差がある」と明かす。例えば、7月に出した「紅米」機は4.7インチ画面、クアッドコア・プロセッサというハイスペックにもかかわらず、800元(約1万2800円)以下という破壊的な価格だ。しかしサプライヤー側は、「パネルのサイズやカメラの画素数は同じでも、部品にはAランクとBランクの差がある。これが安くできる秘密だ」と指摘する。

(東洋経済オンライン「中国のジョブズ、北京小米CEO雷軍氏の素顔」より 2013/10/01)

低価格の原因は、販売方法にもよっている。広告費を全く使わず、中国版ツイッターと呼ばれる「微博」など、ネットの口コミを活用。さらに通信事業者とは関係なく、単独でオンラインのみで販売し、店舗コストを下げている。ネットサービスを使いこなす、若くてハイスペックを望むユーザーを刺激して巻き込み、評判を形作っているのだ。

携帯電話会社、関連メーカーは、新製品の発売にあわせ、莫大(ばくだい)な宣伝広告費を投入し、販売拡大を狙う。これに対し、小米は広告費はほとんど使わず、交流サイト(SNS)やミニブログなど、インターネット上の「口コミ」に絞ったマーケティングを展開している。

前出の関係者は「ネット上の若者はスマホのヘビーユーザーで、IT分野に精通している。小米は彼らをくすぐる情報を発信し、安くて高機能のスマホを提供してきた。これがネットの世界で一気に広まり、ファンを爆発的に増やした」と解説する。

(MSN産経west「【経済裏読み】“中国のジョブズ”“中国のアップル”が仕掛けるスマホ下克上、怯える「サムスン」…最後は“中韓共食い”の見方も」より 2013/10/15)

新商品発売日を話題性のある「人類の終末」の12月21日に設定。販売数を5万台と限定し、オークション方式を取ることで、ゲーム感覚を演出。この告知はオークション4日前から集中的にネットメディアで実施。定番であるウェイボーのバナー広告以外にも、「今日の話題ランキング」や「お勧めの話題」、「お勧めイベント」などで新発売オークションについて広く告知した。

さらに、複数の新浪ウェイボー系列のニュースメディアでも集中的にデジタル・携帯関連ニュースなどで同製品に関する記事を掲載。ハイテクニュースの専門家やウェイボー有名人に、同製品やオークションについて議論してもらって注目を集め、21日のオークション当日に照準を当てて盛り上げていく。

(PUNTA「5分14秒でスマホ5万台を完売:小米の「空腹」+ウェイボー・マーケティング」より)

もうひとつ、小米の躍進で忘れてはならないのが、創業者の雷軍氏の存在だ。雷氏はMicrosoft Officeの互換ソフトを開発する会社の勤務を経て、複数のネットベンチャーを起業。2010年に小米を立ち上げた。

企業のオーナーは、億万長者のレイ・ジュン(雷军)。42歳で、推定17億ドルの資産を保有している。大学生のころからスティーブ・ジョブズの熱狂的なファンで、あらゆる外見的特徴を真似ている。服装は、クラシックなジーンズに黒いポロシャツとスニーカーで、髪は無造作に片側で分けている。彼が登壇する基調講演は、背後に巨大なスクリーンのある大きな舞台で行われる。そこには企業の達成した成果が表示され、そこでは彼が唯一の主人公だ。

(WIRED.jp「Xiaomi:アップルとサムスンを脅かす企業」より 2013/09/19)

しかし、故ジョブズ氏と全く違うのはものづくりの姿勢だ。故ジョブズ氏は自らの理想を妥協なく追い求めるのに対し、雷氏はユーザーの声を製品にスピーディに反映し続けて、人気を得ている。雷氏はインタビューで、こう答えている。

多くのファンが、完璧だと思う携帯電話を思い描いてます。しかし、実際に作るのは難しい。だから次のモデルで搭載すべき機能に対して、私達にフィードバックをくれるのです。そしてそれを私達がきちんと実現すれば、彼らは友達に良いニュースとしてシェアしてくれるわけです。

(Tech in Asia「Founder Lei Jun Talks About Xiaomi, China’s Disruptive Phone-Maker [INTERVIEW]」より 2012/10/15)

快進撃を続ける小米。8月にはGoogleよりAndroid担当の高級幹部を引き抜き、、世界進出も噂されている。さらに攻勢を強めている。今年中に2000万台、3000万台という販売も予測され、世界進出するのか、このまま勢いが続くのかなど、注目が集まっている。

「主力のスマホ事業で逆風が吹き始めたサムスンにとって、小米の躍進は気になるところでしょう」(関係者)。今年は2千万台を販売目標に掲げているといわれる小米だが、一説には3千万台に達するとの予測もある。業界内では「あと1年もすれば、間違いなくサムスンを脅かす存在になる」との意見も。

(MSN産経west「【経済裏読み】“中国のジョブズ”“中国のアップル”が仕掛けるスマホ下克上、怯える「サムスン」…最後は“中韓共食い”の見方も(1/4ページ)」より 2013/10/15)

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