NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が、いよいよ最終回を迎える。平均視聴率が20%を超える大人気の「あまちゃん」からは、たくさんのスラングが生まれた。「朝あま」、「あま絵」、「あまロス」…「あま語」と呼ばれる「あまちゃん」用語を紹介しよう。
■早あま、朝あま、昼あま、夜あま、週あま、複あま、あま不足
まずは、各放送時間帯の呼び方から。
・「早あま」…午前7時半〜(NHK BSプレミアム)
・「朝あま」…午前8時〜(NHK 総合)
・「昼あま」…午後12時45分〜(NHK 総合)
・「夜あま」午後11時〜(NHK BSプレミアムプレミアム)
・「週あま」…土曜日9時半(NHK BSプレミアム)で放送される一週間のダイジェスト放送
なお、1日に複数見る「複あま」派も存在する。「2あま(2回見ること)」「3あま(3回見ること)」する「あますぎる」人たちもみられる。
あまちゃんを見逃すことを「あま不足」と呼ぶ。とても残念な感じだ。
■録あま、あま酒、あまチュア
放送を録画して楽しむことは「録あま」と呼ばれる。オープニング曲の長さまで調べ「15秒早送り5回と、5秒戻し1回」などの発言をする「録あま」上級者も存在する。
録画したあまちゃんを見ながら、晩酌でお酒を楽しむ「あま酒」派もいるようだ。
「あまチュア」は、途中から「あまちゃん」を見始めた人のことを指す。
■あまキャラ、ミズタク、#ミズタク俺の部屋祭り、ミズハグ、ミズ不足、ミズびたし
「あまちゃん」に登場するキャラクターは、「あまキャラ」と呼ばれる。
特に人気を博しているのは松田龍平さんが演じる芸能マネージャー役の「水口琢麿」だ。ファンの間では「ミズタク」と呼ばれている。
ミズタクの部屋の前では、キュンとなる萌え要素が多いため、ファンの間では「#ミズタク俺の部屋祭り」というハッシュタグが作られツイッターで感想などが投稿された。
ミズタクが能年玲奈さん演じる主人公の「アキ」をハグするシーンは「ミズハグ」というツイッターのハッシュタグが作られている。
しかし、ミズタクの登場が少ない場合は「ミズ不足」となり、ファンの悲しい声が多数ツイートされる。逆に、ミズタクの出番が多いと、「ミズびたし」とよばれる現象が起こる。
■あまツイ
「あまちゃん」を見ながらツイートしたり、「あまちゃん」に関するツイートをすることは「あまツイ」と呼ばれる。
ときには、天候などを心配して、「あまツイ」を自粛する動きも見られた。
しかし、タイムラインが「あまツイ」に染まることが苦痛な人も存在したようだ。
■あまハラ、あまクラ、あま友、あまバレ
「あまちゃん」の話題が周りに出ることが、あまちゃんを見ていない人にとって苦痛な状態になることもあり「あまちゃん・ハラスメント」を意味する「あまハラ」という言葉も作られた。他のハラスメントと同様、害を加えるつもりのないごく気軽な気持ちでの行為や言動が、相手にとっては耐えられない状況を作るという現象も起きている。匿名ブログには次のような気持ちを投稿する人も出た。
職場での一番の話題はあまちゃんになってしまいました。正直、苦痛で仕方ありません。
「私、あまちゃん見てないから」と言うと「え? なんで見てないの?」とか言われます。
言ってくる子にはきっと悪気はないのでしょう。でも、そう言われること自体が苦痛です。「あまちゃん見てないヤツは日本から出て行け」とでも言いたそうな同調圧力を感じます。
(はてな匿名ダイアリー「ここ数ヶ月苦しめられたあまハラからようやく解放される」より。2013/09/23 18:00)
なお、「あまちゃん」より視聴率が高い「半沢直樹」を話題にする「半ハラ」という言葉がないという点から、「流行ってる感アピール」だという指摘もある。
なお、あまちゃん系のクラスタ(○○に興味がある人たち)を「あまクラ」と呼ぶ。
「あまクラ」同士で「あま友」になることもある。
なお、あま友の間柄でもハラスメントが存在する、あまちゃん見損なった人にネタバレする「あまバレ」だ。
■あま絵、あま弁
まわりの人が「あまちゃん」のことを話題にすることで、あまちゃんを見始める人もでてきた。はるかぜちゃんこと春名風花さんは「あま絵」がきっかけで「あまちゃん」を見るようになったという。
あまちゃんの楽しさを「絵」などで表現する「あま絵」には、アマチュアだけでなくプロかたも多数参戦した。
紙などに書く「絵」だけではなく、趣向を凝らした「あま絵」も存在する。
「昼あま」を見ながら食べるのか?「あまちゃん」弁当の「あま弁」を作る人もいる。
■あまパロ
あま絵には、あまちゃんのキャラクターを他の作品に見立てたパロディー作品もあった。
「あまちゃん」と他の作品に見立てるパロディー作品は、「あまパロ」と呼ばれる。またはその逆も同様だ。お笑いコンビ・ウッチャンナンチャンの内村光良さんは、あまちゃんのパロディーコントを披露。『LIFE!~人生に捧げるコント~』の8月20日の放送では、『あまちゃん』の脚本を担当した宮藤官九郎さんがゲスト出演している。
この番組を「素晴らしい出来」と評するファンもいた。
■あまオフ
「あまちゃん」の楽しさをもっとみんなと語り合いたい。そんな思いからか「オフ会」が開催された。9月1日には、あまちゃんファンブック発売記念として、大規模なオフ会が開かれた。参加希望者が多く、抽選が行われた。
オフ会の様子は、USTREAMで生中継された。
■あまカラ、あま歌、あま曲
「あまオフ」までとはいかない、身内の間での「あまちゃん」縛りカラオケなども行われたようだ。
「あまちゃん」の歌は「あま歌」と呼ばれることも。
あまちゃんでは数々のサントラがつくられたが、サントラは「あま曲」と呼ばれる。
■あまグッズ、あまコレ、あま本、あまメモ
あまちゃんでは「あま歌」「あま曲」がたくさん詰まったCDなどが発売されたが、CDの他にもたくさんの「あまちゃん」関連グッズが発売されている。「あまちゃん」グッズは「あまグッズ」と呼ばれる。
「あまグッズ」コレクションは「あまコレ」とも呼ばれる。
なお、あまコレのなかでも、「本」については「あま本」と呼ばれることもある。
さらに、評論家の宇野常寛氏が編集する「あまちゃんメモリーズ」という本は『あまメモ』と呼ばれるようだ。
■アマノミクス
あまちゃんの経済効果が期待されるのは、関連商品ばかりではない。「あまちゃん」の舞台となった岩手県では、今年度の経済効果を約33億円と評価する分析もある。
達増拓也岩手県知事は、地元を掘り下げることで地域の価値を高め、それが口コミなどで広がることで、地域にやってくる人が増え、地域の振興につなげていく取り組みを「アマノミクス」(“あま”もカタカナ)と表現する。
いまだ復興の途上にある岩手県で、私は県議会などで「復興は、地元の底力とさまざまなつながりの力を合わせることで達成される」と言っている。「(復興の力)=(地元の底力)+(さまざまなつながりの力)」という「復興の公式」であるが、これを地域経済の振興に展開すると「アマノミクス」になる。
(時事ドットコム「『あまちゃん』を読み解く=「アマノミクス」で「じぇじぇじぇ改革」を‐達増拓也岩手県知事」より。)
脚本を担当した宮藤さんは、2012年6月に「あまちゃん」制作が発表された際、久慈という地域を取り上げたことについて次のように話している。
宮藤「そして久慈の観光課の人たちは、『久慈には海女と三陸鉄道はあるけど、何かもうひとつがない』と頑張っておられるんですが、そのがんばりがすごくいいなあと思って。自分の田舎もそうなんですけど、観光資源はあっても、どう活かしていいかがわからない。つまり、自分の町のものに誇りを持てないんですよね。そんなもんじゃあ...と思ってしまう。でも、離れてみると、それって意外と価値があるものなんです」
宮藤「そんな海女さんもやっぱり後継者が不足していて、高校生たちで海女さんクラブを作ったりしているんです。そういうのもいいなあと思って、決めました。まあ、ネタがいっぱいあった、ってことですかね...(笑)」
(NHKブログ「宮藤官九郎さんが語る! 「あまちゃん」はこんなドラマ」より。 2012/06/08)
■あまロス、アマシー
「あまちゃん」放送が終了してしまう喪失感による「あまロス(あまちゃんロス症候群)」という症状を心配する声も多く聞かれる。
あまロスの他にも、「アマシー」という言葉も見られた。
宇野常寛さんは「あまロス」対策として、次のような方法を紹介している。
あまロス対策として、「このあまちゃん本を読むのも良いです(笑)」と前置きしつつ、宇野さんがおすすめするのは、宮藤さんのこれまでの作品を鑑賞することだという。
「『池袋ウエストゲートパーク』や『木更津キャッツアイ』『マンハッタンラブストーリー』など、当時、クドカンのドラマがすごいと書いたらバカにされましたが、今なら当時は“知る人ぞ知る”だった良さもわかってもらえるはずです。『マンハッタン-』には、春子ママの小泉今日子がヒロイン役で、正宗パパの尾美としのりがその同僚で出演しているところに、ニヤリとしたり。『-キャッツアイ』は学校の先生役の薬師丸ひろ子がコメディエンヌとして注目されるようになった作品だったり。あまちゃんのルーツを探してみるのも、良いかもしれません」
(ハフポスト日本版「「あまちゃん」と「半沢直樹」の違いとは? 9月28日に最終回「あまロス症候群」その傾向と対策」より。)
■あまリタ?続あま?あまちゃんZ?あま最終回
あまちゃん終了を惜しむ声は多く、「続編を作って欲しい」という声も多数上がっている。
続編作成にはNHK社長は続編作成に乗り気だというが、宮藤さんは「オファーがない」と話しているという。
泣いても笑っても、あまちゃん最終回。最後の15分は、「あま最終回」と呼ばれるようだ。
最終回の後も、あたらしい「あま語」は生まれるだろうか?あなたの知っている・考える「あま語」をお寄せ下さい。
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