解決の糸口が見えない汚染水問題。タンク付近の井戸から検出されたトリチウムは5日間で36倍、ストロンチウムなどベータ線の放射線物質は10日間で8倍に上昇。政府はトリチウム除去に有効策が見い出せず技術を国際公募することに決定した。
東京電力福島第一原発のタンクから汚染水が漏れた事故で、東電は9月14日、漏れたタンク付近の観測井戸で13日に採取した水から、放射性物質のトリチウム(三重水素)が1リットルあたり15万ベクレル検出されたと発表した。朝日新聞デジタルが伝えた。
MSN産経ニュースによると、地下水調査が始まった8日に、1リットル当たり4200ベクレルを検出。10日には法定基準値6万ベクレルを超える6万4000ベクレル、11日は9万7000ベクレル、12日には13万ベクレルだった。8日採取分と比べると濃度は5日間で約36倍に上昇している。
■ 排水溝の放射線物質濃度上昇、除染作業の影響か
一方、東電はタンクの近くを流れる排水溝から13日採取した水で、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質の濃度が1リットル当たり940ベクレル検出したと発表した。6日採取分(1リットル当たり120ベクレル)から約8倍に上昇している。
排水溝では7日から、高圧洗浄機を使った排水溝の除染作業をしており、東電は「除染作業で事故の際に飛び散った周囲の放射性物質も集まった可能性がある」と説明している。
■ 政府、トリチウム除去の有効策なし
政府の汚染水処理対策委員会は13日、汚染水からの大量のトリチウム(三重水素)除去などは現時点で有効な対策が見当たらないとし、技術を国際公募することを決めた。
福島民報によると、経済産業省資源エネルギー庁によると、汚染水が少量の場合はトリチウムの濃度を薄める技術が開発されている。ただ、同原発の大量の汚染水を処理する技術は確認されていない。
公募では、接合部をボルトで締める「フランジ型」の地上タンク底部の強度を高める技術や、汚染水の漏えいが微量でも検知できる手法、モニタリングを担当する作業員の被ばく線量を減少させる方法なども募る。
トリチウム濃度上昇をめぐって、Twitterでさまざまな意見が出ている。
果たしてトリチウム除去に有効策は見出されるか。また、除染作業の放射線物質濃度上昇に対する影響について、みなさんのご意見をお寄せください。
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