レスリング存続の決め手は? 20年東京オリンピック、IOC総会が残留を決定

国際オリンピック委員会(IOC)は8日、ブエノスアイレスで総会を開き、東京で開催される2020年夏季五輪の追加競技をレスリングに決めた。野球・ソフトボールとスカッシュは落選した。総会では、候補3競技が各20分のプレゼンテーションと質疑応答を実施。その後の投票でレスリングは49票、野球とソフトは24票、スカッシュは22票だった。

国際オリンピック委員会(IOC)は8日、ブエノスアイレスで総会を開き、東京で開催される2020年夏季オリンピックの追加競技をレスリングに決めた。野球・ソフトボールとスカッシュは落選した。時事ドットコムが伝えた。

47NEWSによると、総会では、候補3競技が各20分のプレゼンテーションと質疑応答を実施。その後の投票でレスリングは49票、野球とソフトは24票、スカッシュは22票だった。

20年五輪の実施競技は最大28。25の中核競技と16年五輪で採用されるゴルフ、7人制ラグビーの実施が決まっており、残り1枠を最終候補の3競技が争った。レスリングは24年五輪でも実施される

■ 吉田沙保里「出場できるよう頑張る」

午前0時半すぎに投票の結果が発表され、レスリングが実施競技に選ばれると、集まった人たちは歓声を上げて飛び上がったり、ほかの選手たちと握手をしたりして、喜びを分かち合った

オリンピック3連覇の吉田沙保里選手は、「決まるまでは試合前のように緊張したが、決まった瞬間、ホッとしました。7年後の2020年は東京での開催になったので、レスリングを続けて、夢に向かって、出場できるよう頑張っていきたいです」と話した

また、レスリングで同じくオリンピックで3連覇している伊調馨選手は、「本当に今はほっとしています。たくさんの人のおかげで、レスリング残ることができました。ありがとうございました」と話した

米満達弘選手は、「実施競技に選ばれると信じるしかなかったが、決まったときは本当にうれしかった。ただ、これからが大事で、落選したほかの2つの競技のためにも、レスリング界はもっと頑張っていかないといけない。7年後、僕は選手ではないと思うが、メダリストとして、2020年の東京オリンピックを盛り上げていきたい」と話した

■ レスリング、競技存続の危機に素早く改革

レスリングがオリンピックの実施競技に引き続き選ばれた大きな理由として、国際レスリング連盟が競技存続の危機に素早く対応し、改革の姿勢を見せたことが挙げられる

レスリングは1896年の第1回アテネ大会から一部の大会を除いて行われてきた伝統競技で、2004年のアテネ大会からは女子も正式種目になった。

日本はこれまでオリンピックで金メダル28個を含む62のメダルを獲得し、お家芸とも言われてきたが、ことし2月のIOC理事会でレスリングが除外候補に決まった

5月の国際レスリング連盟の総会で、より観客に分かりやすく、かつ選手に積極的に攻撃を促すルールへの変更や、女性委員会を新設し、将来的には女性の副会長を置くといった組織の改革案を決定

さらに、オリンピックで女子の階級を増やすことをIOCに提案し、2016年のリオデジャネイロ大会では男子のフリースタイルとグレコローマンスタイルの階級を1つずつ減らす一方、女子の階級を4つから6つに増やすことが、先月決まった

また、第1回のオリンピックから行われてきた競技を除外する候補とした、2月のIOC理事会の決定に対して、特に欧米や日本を含むアジアで大きな波紋が広がったことも、今回のIOC委員の投票に影響があったとみられる。

■ ラロビッチ会長「競技の2000年の歴史で最も重要な日になった」

組織改革やルール変更など存続への取り組みを進めてきた国際レスリング連盟のラロビッチ会長は、「競技の2000年の歴史で最も重要な日になった」と語った

日本協会の福田富昭会長は「緊張の連続だったが、ホッとした。やっと心が晴れた。五輪開催も決まったし、これで気持ちよく東京に帰れる。(中核競技から)まさか外されると思っていなかった。何とか実施競技に戻ることができた。」と喜んだ

レスリング強豪国のイランでは、国営放送が速報で伝えたあと、夜のニュースでイランのレスリング協会の関係者の話として、「選手やイラン国民にとって非常にうれしい知らせだ。レスリング界は今後、多くのスポンサーを獲得して資金面を充実させるなど、発展のためにさらなる努力を行う必要がある」というコメントを伝えている

■ 野球・ソフトボール、スカッシュ、支持広がらず

野球とソフトボールは2008年の北京大会を最後に、共に実施競技から除外され、野球は施設の建設費用が高いうえ、野球が盛んでない国や地域では大会後の施設の利用が難しいこと、ソフトボールは参加する国や地域が少ないことなどが理由とされた

試合時間の短縮のために野球もソフトボールと同じ7イニングで行うことや、野球とソフトボールが同じ競技場を使い効率的な運営をすることなど、改革案を打ち出してきたが、ライバルの競技を上回るIOC委員からの支持を得ることできず、3大会ぶりの復帰はならなかった。しかし、野球・ソフトボールは2020年の五輪で、実施競技に復帰する可能性があることが9日分かっている。今後の行方に注目が集まる。

スカッシュはオリンピックの実施競技入りを目指し、世界スカッシュ連盟主導で、IOCが重視するテレビ放映を意識して、試合が短時間で終わるようにルールを変更したり、観客が見やすいように全面ガラス張りのコートを導入したりするなど、人気を高める取り組みを進めてきた

しかし、ほかのオリンピック競技と比べると十分に普及が進んでいないことから、IOC委員の支持を広げることはできなかった

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