汚染水、タンク4か所以外に配管からも漏洩 東電、受け皿を置いて対策

東京電力福島第1原発で放射能汚染水を保管しているタンクから水漏れがあった問題で、東京電力は9月1日、タンク間をつなぐ配管から90秒に1回、汚染水が滴下していることを確認したと発表した。配管内には約60リットルの汚染水がたまっているとみられる。

東京電力福島第1原発で放射能汚染水を保管しているタンクから水漏れがあった問題で、東京電力は9月1日、タンク間をつなぐ配管から90秒に1回、汚染水が滴下していることを確認したと発表した。配管内には約60リットルの汚染水がたまっているとみられる。時事ドットコムが伝えた。

滴下したのは「H5区画」のタンク2基をつなぐ配管部。300トンの汚染水漏れが発覚したタンクから南西に約100メートルの場所にある。福島第一原子力発電所の汚染水漏れ事故で、東京電力はタンク周辺から最大で毎時1800ミリシーベルトという高線量の放射線が観測されたと発表した。9日間前の測定から線量が急増していた。東電は配管下に受け皿を置くなどの対策を講じた。

■ タンク4か所から毎時1800ミリシーベルト「4時間浴び続ければ死ぬ」

東電は8月31日、敷地内タンク群の4か所で高線量を確認したと発表した。2か所はこれまでに高い線量が確認されていた場所だが、線量が上昇し、最大値は毎時1800ミリシーベルトだった。残りの2か所は今回、新たに判明した。

福島民報によると、線量が上昇した2か所は「H3」エリアのタンク群。22日の調査で同100ミリシーベルトの場所が同1800ミリシーベルト、同70ミリシーベルトの場所が同220ミリシーベルトになった。東電によると、前回は最大100ミリシーベルトまでしか測定できない機器で調べたため、以前から100ミリシーベルト超だった可能性もあるという。

近畿大学の伊藤哲夫教授(放射線生物学)は、毎時1800ミリシーベルトという水準について、「4時間浴び続ければ死というものしかなく、手当てしなければ、30日以内に100%の方が亡くなる」と述べ、非常に高いレベルだとの認識を示した

東電によると、タンクの水位に目立った変化はなく、堰外への漏えいはないとしている。しかし、伊藤教授は汚染水を貯蔵するタンクの構造に問題があり、「すごく心配だ」と話す。漏えいの起きたタンクは鋼板の板をボルトで留め、接合部はパッキンで埋めた「フランジ型」と呼ばれる円筒型のタンク。

同教授は、「本来ならば溶接して非常に長く持つタンクを作るのが当然だが、汚染水がどんどん溜まるということで、急いでボルト締めのタンクを沢山作った」と指摘。寒暖で膨張したり収縮するため、シール部分が長期間もたないという欠点があり、「次から次へと漏えいしている」と分析する。さらに、丈夫な溶接型タンクに取り替えていく必要があり、東電に任せるのではなく、「金銭的、経済的に保証できる国が率先して指導すべき」だとの見解を示した

■ タンク付近の排水溝からストロンチウム、トリチウム検出

また東電は1日、約300トンが漏えいした「H4」というタンク群に近い排水溝で、ストロンチウム90(法定基準は1リットル当たり30ベクレル)などベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり920ベクレル検出されたと発表した。

47NEWSによると、検出されたのは「H4」南側の2本の排水溝が合流する付近。8月31日に水を採取した。22日の採取では580ベクレルで、上昇傾向にある。排水溝は直接、港湾外の海につながっている。

8月31日には、高濃度汚染水が漏れた地上タンクから約130メートル離れた地下水バイパス用の井戸で30日採取した水から、放射性トリチウム(三重水素)が最大で1リットル当たり900ベクレル(法定基準は同6万ベクレル)検出されたと発表している。2月に調べた水の検出値(同450ベクレル)と比べて倍増。

井戸は、原子炉建屋に流入する前の地下水をくみ上げて海に放出する地下水バイパス計画で掘った12カ所のうちの一つで、漏れたタンクから2番目に近い。

今回は2か所を検査した結果、タンクから最も近い井戸の水からも2月時点の5倍を超える同300ベクレルのトリチウムが検出された。

■ 原発作業員「漏れる心配あった」 と証言

高濃度汚染水が漏れた問題で、約300トンが漏えいしたタンクの設置に携わった男性作業員が、1日までに共同通信の取材に応じ「次から次へとタンクを造らなければならなかった。品質管理より造ることが優先で『漏れるのではないか』との心配はあった」と証言した。男性は下請け会社の作業員として約2年前、タンク群の設置に携わった。

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