今週、アメリカ気象学会が発表した新しい報告によれば、2012年は地球にとって厳しい年であった。
アメリカ海洋大気庁 ( 以下、NOAA ) の研究者らがまとめた報告書、2012 年の「気候の状態 ( State of the Climate ) 」によれば、昨年、北極海の氷の喪失は過去最大となり、海面上昇と化石燃料の燃焼による温室効果ガスの排出量も過去最大に達したということである。
また、50カ国以上の数百名にも及ぶ気象専門家らから集めたデータを元にまとめられた同報告によれば、2012年は観測史上での上位10位以内に入る温暖な年となった。特に、アメリカとアルゼンチンは過去最高に暑い年を経験した。
AFP通信によれば、「この研究結果には目を見張ります」と、NOAAのキャスリン・サリバン ( Kathryn Sullivan ) 長官代理は述べている。「地球全体が温暖化しています」とも。
1981〜2010年平均と比較した2012年の表面温度。アメリカ国立気候データセンターの「地表および海面の複合温度 ( Merged Land and Ocean Surface Temperature ) 」データを元に、NOAA環境可視化研究所のダン・ピサート ( Dan Pisut ) 氏が作成したNOAA地図。
サリバン長官代理はAP通信社に対して、同報告は北極とグリーンランドでの急速な氷の融解など、「主要気候指標における著しい変化」を明らかにしていると述べている。
同報告についてのプレスリリース :
北極の状況が2012年の主要な話題となりました。北極圏は未曾有の変化を経験し、複数の記録を更新しました。海氷は、34年前に衛星記録が始まって以来、過去最低の「夏期最小」量となりました。加えて、グリーンランドの氷床の97%以上が、夏期に何らかの形の融解を示し、1981〜2010年の平均融解量の4倍を記録しました。
温室効果ガスも引き続き懸案事項となっている。同報告は、2012年の化石燃料によるCO2排出推定量が記録的なものとなったことを指摘、「( 昨年は ) 二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの主要温室ガスの濃度が引き続き上昇した」と述べている。
AFPによれば、ペンシルベニア州立大学の気候学者、マイケル・マン ( Michael Mann ) 氏は、「この報告を読めば、炭素排出量の削減がかつてない程の緊急課題であるという結論に達せざるを得ない」と語っている。マン氏は同研究には関与していない。
同報告はまた、海面温度の著しい上昇に伴って昨年の海水位が過去最高となったことを指摘している。
同報告の共著者である気候学者のジェームズ・レンウィック ( James Renwick ) 氏は、ニュージーランド・ヘラルドに対して次のように述べている。
「気温上昇がかなりゆっくりと進んでいるという理由で、1998年に地球温暖化は止まった、と多くの人々が語りたがります」
「しかし、氷はそれ以降も急速に融解を続けており、さらに大量の熱が海洋へ流れ込み、海面が上昇が急速に進んでいます。これらすべての事柄を見れば、気候システム全体の温暖化が続いていることが分かります。そして、このままいけば温暖化の速度は増すばかりです」
NOAAのWebサイトに同報告の要旨が掲載されている。
詳細な報告書はこちらで入手可能。
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