東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発1~4号機の廃炉費用は、私たちの電気料金に上乗せされることになりそうだ。東電は福島第一原発の廃炉のために9469億円をすでに損失計上し、この分は電気料金に反映されていない。朝日新聞デジタルの報道によると、経済産業省が検討しているのは廃炉作業のためにつくる新たな施設の建設費で、仮に100億円の施設をつくれば、月約8千円の電気料金を支払う家庭で約1.9円の値上げになるという。経産省は原発の廃炉をめぐる会計の見直しを進めており、23日の検討部会で新制度の骨子案を示した。検討部会は8月中に報告をまとめ、年内にも省令を改正する(朝日新聞デジタル「福島第一の廃炉費、電気料金に上乗せへ 経産省方針」より。2013/07/24 11:15)。
経産省はこれまでも、原発の運転開始から40年で廃炉費用を電力会社に積み立てさせているが、今の制度のまま廃炉にすると、積立金の不足分や、原発の資産価値がゼロになる分を、一気に特別損失として処理しなければならない。朝日新聞デジタルの報道では、原発を40年で廃炉にする場合、国内の原発50基のうち8電力会社の34基で、将来の廃炉のために積み立てているお金が予定より不足するという。今年3月の時点では必要な額より約1700億円足りず、今後もふくらんでいく見通しだ。そうなると電気料金ではまかなえない。
骨子案では、原発の運転終了後も10年間は廃炉費用を積み立てられるようになる。廃炉中も使い続ける原子炉格納容器などの設備は資産価値が残っていると認め、全額を損失処理しなくて済むようにした。さらに、資産価値が残っている分や廃炉のためにつくる施設については、後で「減価償却」できるようにし、電気料金への上乗せを認める。
一方で、朝日新聞デジタルの別の記事によると、経産省は現在北海道電力と四国電力が申請している電気料金の値上げ審査では、「新電力」と呼ばれる新規参入の電力会社への電力販売量を増やすことなどで値上げ幅を1%幅強、抑える方針を固めたもよう。これまでに値上げを審査した東京、関西、九州の3電力については、こうした施策はなかった。政府は2016年をめどに電力小売りを完全自由化する方針なので、競争を促す狙いもあるようだ(朝日新聞デジタル「他社へ売電増で値上げ幅圧縮へ 北海道・四国電の料金」より。2013/07/24)。
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