パナソニックが4月から発売を開始している「スマートビエラ」シリーズについて、各放送局がCM放映を拒否しているというニュースが、話題を集めている。関連業界で定めたガイドラインに違反しているというのが、CMを拒否する理由とのこと。共同通信によると、「大手広告主のCMを各局が流さないのは極めて異例」とのことだ。
何が問題なのか。
簡単に言うと、「テレビに電源を投入した時に、テレビ放送波以外の情報が表示されてはならない」という点である。
スマートビエラの電源を入れると、テレビ番組の枠の外側に、インターネットネットや動画などが並んでいる。これらのインターネットコンテンツに、リモコン操作で簡単にアクセスできる点が、ガイドラインに違反しているとされた。
放送局側は、放送するコンテンツに対して、「さまざまな情報を的確に演出し、視聴者もその意図をきちんと汲んでくれることを期待して放送」するという番組の一意性の確保に務めている。そのため、番組受信機(テレビ)には、放送局側の意図とは違う内容が表示されることがあってほしくない。
例えば、下記の画像のように、番組画面の周りに、天気予報や地域情報が表示されている状態について、放送局側は番組だけを表示し、天気情報などは他のサーバのコンテンツであるかもしれないが、「視聴者は放送番組と関係のない地域情報も、放送局が提供した情報であると誤解してしまう可能性がある」と考えているのだ。
スマートビエラのネットCMをみてみると、テレビ番組なのか、インターネットなのかを区別せずに、テレビ利用が想定されていることがわかる。
朝日新聞デジタルは、パナソニックのコメントのを下記のように報じている。
一方、パナソニックはいまのところ、番組とネット情報を明確に区分しているとの立場だ。同社広報は、「スマートテレビは新しいサービス。放送局側と協議して放送と通信の新たなルール作りを進めているところなので、現時点ではコメントを控えたい」としている。
(朝日新聞デジタル「パナソニック新型テレビ、民放各局がCM放送拒否」より。2013/07/07 06:27)
これらについて、インターネットでは、「スマートビエラが欲しい」というようなパナソニック側を支持するという声が多数上がっている。
番組の一意性の確保という理由では、他にもニコニコ動画のコメントをテレビ上で表示するということも、放送局の立場としてはNGとなる。しかし、「もっとTV」という株式会社電通がシステムを提供するVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスのように、自分で選んだ番組を全画面で表示させるというようなしくみであれば、テレビの中に組み込むことができるようだ。
インターネットが発達し、より便利に使いたいと思うユーザーも、より素晴らしい機能を提供したいと考えるメーカーも増えるだろう。しかし、肝心のマーケティングでその点を宣伝できないなら、折角の機能が台無しである。このガイドラインも見直しが必要な時期にきているのではないだろうか。
ーーーー
※修正:引用していたツイート及びブログの一部を削除しました(2013/07/08 18:35)
関連記事