国のエネルギー政策の行方が問われる中、現在、国内で唯一稼働中の関西電力大飯発電所や高速増殖炉「もんじゅ」など14機の原発を抱える「原発集中立地県」の福井県。この選挙区で立候補している各党の候補者は、その公約でエネルギー政策をどう展開しているのかを探ってみた。
福井選挙区(改選数1)には現在、民主党新人で党県連副代表の藤野利和氏(61)、自民党新人で元財務官僚の滝波宏文氏(41)、共産党新人で党県常任委員の山田和雄氏(45)、政治団体幸福実現党の白川康之氏(56)の4新人が立候補している。福井新聞によると、福井選挙区は自民現職の引退を受けた選挙となり、1992年以来実に21年ぶりに新人同士の戦いになるとのこと。
民主の藤野氏は、社民党県連の応援も受ける。 原子力発電所については、「原発立地地域への経済と雇用に配慮したエネルギー政策を進めます」としており、これだけでは原発に対して反対なのか、推進なのかははっきりとはわからない。
ただ、福井新聞のインタビューの中で、「原発立地県として原子力政策をはっきりと示さないといけない。(中略)過酷事故の危機管理の観点から1サイトの3キロ圏内にある原発の稼働を2基にとどめるべきだ」と語るいっぽう、「原発の長期運転停止で嶺南の経済は厳しい。(中略)規制委が再稼働を認めない原発が廃炉となるならば、廃炉作業に税金を投入したりして嶺南企業を救う対策を考えるべきだ」として、国の原発政策による、地元経済への影響を抑えたいとしている。
自民の滝波氏は、同党県連初の党員投票で公認候補の座を得た。エネルギー政策については「原発は地球温暖化や経済の発展、活力の担保などを考えたとき、引き続き基幹的な電源とならざるをえない」と延べ、原発推進の立場を明らかにする。中日新聞のインタビューでは、「エネルギー政策でも原子力と太陽光では発電量の桁が違う。ベストミックスを探る『賢い選択』に落とし込んでいかないといけないのではないか」と語っている。
共産の山田氏は4氏の中で唯一、「原発即時ゼロ」を打ち出し、自民との対決姿勢を前面に押し出す。治団体幸福実現党の白川氏は、重要政策として原発推進を掲げている。
福井選挙区は、衆参の選挙区議席を独占する「自民王国」であり、すでに14機の原発を抱える集中立地県でもある。それゆえに、各候補者の原発をめぐる公約には地元経済への影響を重視した「現実路線」が目立ち、「脱原発」や「反原発」が大きなうねりになる気配は見られない。
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