Appleは、英国で2012年におよそ6800万ポンド(約103億6600万円)の利益を上げたにもかかわらず、法人税を全く支払わなかった。同社が英国の税務当局に提出した書類から明らかになったとして、複数のメディアが報じている。
「フィナンシャル・タイムズ」紙の報道によると、Appleは、英国にある複数の主要な子会社を通じて、2012会計年度(2012年9月締め)に6800万ポンドの税引前利益を計上した。同社はこれよりさらに多額の利益を得ていた可能性もあるが、利益が大きく見えないようにするため、一部の利益を英国以外の場所で計上した、と「テレグラフ」紙は報じている。
では、Appleはどうやって納税義務を回避したのだろうか。その大部分は、従業員にストックオプションを報酬として付与することで行われた。ストックオプション分は、費用として税金から控除できる。
Facebookも同じ税金の抜け道を利用して、2012年に米国での税負担を全額回避したと、非営利のシンクタンクCitizens for Tax Justice(CTJ)は報じている。
英国で税金を逃れている有名企業はAppleだけではない。Starbucksは6月23日、2013年の利益に対する法人税を支払ったと発表したが、同社が英国で法人税を支払ったのは2008年以来のことだ。同社が2013年に「税控除の利用を差し控える」ことを決定したのは、消費者や議員からの反発を受けてのことだった。同社は、2014年の利益に対する法人税を支払う予定であるとも述べている。
Appleが世界中で支払った税額の低さは、米国に本拠を置く多数の多国籍企業が、国による税法の違いを巧みに利用していることを示している。実際、Appleを含む米国の大企業18社が、タックスヘイヴンを利用することで、米国で920億ドルに上る税金を回避した、とCTJは指摘している。
5月には、Appleが利益を税率の低い国に移すことによって、世界中で(2009~12年に)上げた740億ドルの利益のうちわずか2%しか税金を支払っていないことを、米上院議会の委員会が問題にした。Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、5月に開かれた上院公聴会で、「支払う義務のあるすべての税金」を払っていると主張し、同社が世界中で支払った税金の額が低いことを擁護した。
[(English) 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
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