岩手県議会の小泉光男県議(56)が、同県一戸町の川岸で死亡しているのが6月25日に発見された。岩手県警では自殺の可能性があるとみて捜査している。小泉県議は病院批判の投稿がきっかけで、ブログが炎上したばかり。一部報道によると、警察ではブログ炎上と死亡に関連性がないか捜査しているという。岩手日報では以下のように報じている。
近くを偶然通りかかった小泉氏の親類が、かばんのようなものを枕にあおむけに倒れている小泉氏を見つけた。着衣に乱れはなかったという。
(岩手日報WebNews 2013/6/25)
小泉県議のブログが炎上したのは、6月5日の投稿が発端だった。県立病院で診察を待っていたところ、番号で呼ばれたことに腹を立てて、以下のように書いた。
ここは刑務所か!。名前で呼べよ。なんだ241番とは!と受付嬢に食って掛かりました。会計をすっぽかして帰ったものの、まだ腹の虫が収まりません。
これに対して「非常識だ」などと批判が広がり、ブログのコメント欄が炎上。ブログを閉鎖した上で、17日に記者会見を開いた。産経新聞ではこのときの模様を次のように報じている。
「公人としての立場を忘れ、著しく思慮に欠けていた」と謝罪。「治療費は払った。病院の慣行や歴史を考えず、不適切だった」と陳謝した。
(MSN産経ニュース 2013/6/25 11:17)
小泉県議が死亡したことを受けて、ネット上では「炎上を受けてメディアスクラムになったことが一因では?」と推測する声も出てきている。コンサルタントのクロサカタツヤ氏は、自身のブログで「炎上と自殺に因果関係があった」という仮定で、以下のように書いている。
本件について、私は彼の記者会見がテレビのニュースで中継されているのをたまたま見かけたのですが、正直「これ、全国ネットで扱うような話か?」と思いました。
だって、「医療機関が個人情報の取扱いにセンシティブになっている」ということをあまりよく知らずに、なんとなく怒ってしまった、というだけのことですよ。そんな人、日本中で毎日何人もいるでしょう。それが県議という地位のある人によるものだとしても、周囲の誰かが諭せば落着するはず。少なくとも謝罪の記者会見を全国ネットのテレビで中継するような話だとは、到底思えません。
それがここまで盛り上がってしまったのは、ネットの炎上を発端に、いわゆるメディアスクラムが、形成されてしまったから、ではないでしょうか。
だとするとこれは、実に拙い流れです。
従来のネット炎上は、あくまでネット内で問題が完結することを、前提としていました。だから対策としては、いわゆるネットリテラシー(ないしは炎上リテラシー)を、考えていればよかった。ある意味で、牧歌的な世界です。
しかしマスメディアがそこに乗っかるようになったことで、ネットの炎上はもはや単なる炎上ではなく、社会的制裁を加える〈私刑〉の装置として機能しうるようになったのでしょう。
そしてそれが、死に至る制裁であるということが、今回の自殺で示されたといえます。
(クロサカタツヤの情報通信インサイト「 ネット炎上で岩手県議が自殺との報に触れて」2013/06/25 11:00)
【※】ブログが炎上した直後に小泉県議が死亡した件について、読者の皆様はどのように考えますか?コメント欄にご意見をお寄せください。