安倍首相が念願としてきた「憲法改正」が影を潜めつつある。自民党の憲法改正案についての世論の反発が予想以上だったことや「日本維新の会」の急激な人気低下などを受け、従来の「成長戦略」に争点を移す考えだ。
東京新聞は以下のように伝えている。
安倍晋三首相は十六日夜(日本時間十七日未明)、ワルシャワで同行記者団に対し、参院選挙後に開かれる秋の臨時国会について、「成長戦略を実行していく国会になる」と述べ、改憲議論を深めるよりも、成長戦略に集中するとの考えを示した。改憲手続きを定めた憲法九六条の要件緩和に世論の反対が強いことを踏まえたものとみられる。
(東京新聞 2013年6月17日 夕刊)
しかし、憲法改正の実現をあきらめたわけではない。参院選後の勢力図を現実的に見定め、選挙後に民主党内の改憲派議員も巻き込みながら改正への布石を打っていく姿勢を見せている。
(発議に必要な)参院の3分の2以上の議席を1回の参院選で取るのは不可能だ。目指していない。選挙を終えた上で多数を得るよう努力していく。日本維新の会、みんなの党だけでなく、民主党の中にも条文によっては賛成する人がいる。
(産経新聞 2013.6.17 10:15)
■民主党・海江田代表「放っておいて」
憲法改正に民主党も巻き込んでいくという安倍首相の発言に対し、民主党の海江田代表は「政党の中のことについて、あれやこれや言うということは、これはもうフェアでないというふうに思いますので、余計なことを言わずに放っておいてください」と反発している。
■関連ツイート
安倍首相の戦略変更について、慶応大の金子勝教授は政治の争点を成長戦略に移すことで憲法改正への批判をかわし、水面下で改正への動きを進める狙いがあるのではと批判している。
ヨーロッパ訪問中の安倍首相、帰国後には参院選への動きが本格化する。「参院選での3分の2確保の勢力は無理」と現実を訴え、焦点を成長戦略へ絞ることを表明することで政治的な安定感を示そうとしているのか。それとも、方針転換で一時的に批判をかわし、虎視眈々と改正を目指しているのだろうか。
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