安倍晋三首相がFacebookに投稿した内容をめぐって、民主党の細野豪志幹事長が同じくFacebook上で批判した。7月の参院選でのネット選挙解禁前に、各政党がネット利用に力を入れる中で「ネット世論を味方につけるのは我が党だ」と言わんばかりのPR合戦の様相を呈している。
発端となったのは安倍晋三首相の6月12日の投稿だった。2004年に、日本人の拉致被害者が日本に一時帰国した際に、田中均・元外務省アジア大洋州局長が「朝鮮の要求通り北朝鮮に送り返すべき」と主張していたことを次のように批判した。
あの時田中均局長の判断が通っていたら5人の被害者や子供たちはいまだに北朝鮮に閉じ込められていた事でしょう。外交官として決定的判断ミスと言えるでしょう。それ以前の問題かもしれません。そもそも彼は交渉記録を一部残していません。彼に外交を語る資格はありません。
これに対して、細野氏は6月14日の投稿で、こうかみついた。
安倍総理は、エントリーの最後を「彼に外交を語る資格はありません」と締めくくっています。田中氏はかつて外務官僚でしたが、今は一民間人。当然、外交について語る「表現の自由」を有しています。最高権力者に「語る資格がない」と断じられた田中氏は語り続けることができるでしょうか。仮に、田中氏が最高権力者の言に逆らって語る勇気を持っていたとしても、メディアは彼の見解をこれからも伝えることができるでしょうか。そのことも私は危惧します。
細野氏は、続く6月15日にも投稿している。田中均の北朝鮮外交についての安倍首相の心情に配慮を示した上で、次のように書いた。
それでも、最高権力者が持つ強大な権力を考えたときに、あのような発信は自制すべきであったと私は考えます。
6月16日の16時現在、安倍首相の冒頭の投稿についた「いいね!」の数は約23600件。対する細野氏の投稿に対する「いいね!」は、2つの投稿の合計でも約1700件と大幅に差はついているが、首相と野党幹部という立場の差を考えると、一概どちらが優位とは言い切れない。
時事通信の調査によると、「次の首相になって欲しい政治家」に民主党内ではトップに立っている細野氏。現役の安倍首相には大差をつけられているものの、今回のやり取りは次期首相候補として劣勢挽回になるのか。安倍首相がFacebook上で細野氏に反論するかも含めて、ネット上の注目を集めている。
※読者の皆様は安倍首相と細野氏の投稿、どちらを支持しますか?コメント欄にご意見をお寄せください。
関連記事